内容説明
君には、警察学校をやめてもらう。
この教官に睨まれたら、終わりだ。全部見抜かれる。誰も逃げられない。
警察学校初任科第九十八期短期過程の生徒たちは、「落ち度があれば退校」という極限状態の中、異色の教官・風間公親に導かれ、覚醒してゆく。
必要な人材を育てる前に、不要な人材をはじきだすための篩、それが警察学校だ。
週刊文春「2013年ミステリーベスト10」国内部門第1位、
宝島社「このミステリーがすごい! 2014年版」国内編第2位、
2014年本屋大賞にノミネートされ、
90以上のメディアに取り上げられた既視感ゼロの警察小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
502
「職質」についての話は非常に興味深いものがありました。職質は奥が深いですね。また、風間教官が「(警官に)憧れる」人材をダメだとするのは「バッテリー(あさのあつこ)」でも同様でしたね。2016/12/10
そる
461
ドラマで見た通りだったが、原作はその後が丁寧に描かれず出来事が放置。次の章に移ってから少し種明かし。ドラマの方が心情や理由が分かりやすく、好み。だいたい同じだけどそれぞれにないものあるものがあり名前や組み合わせが違う。だから次作読まないと。風間はドラマの方が厳しい。この役キムタク臭が抜けていい。警察学校は重厚なテーマだがサラサラ流れるようで読みやすい。「ここでまた姿紋の話に戻ろう。姿紋と指紋とで、決定的に違っている点がある。それは指の方はずっと不変だが、人の姿は一定ではないということだ。人は変われる。」2021/01/19
ノンケ女医長
411
凄まじい警察小説だった。組織の出発点である「警察学校」。校風、社風に適合できない人を選び抜き、排除していく教育機関であるらしい。巡査と巡査、巡査と警部補、巡査と教官の騙し合いもみっちり描かれ、気を抜く隙もなくあっという間に作品を読み終えてしまう。こんな警察学校の日々、きっと今の若い学生には絶えられないし、絶望しかない。むしろ教官がハラスメントで訴えられてしまう…。あくまで小説の世界と割り切りつつも、忘れ得ぬ読書体験になった。大きな蟻に両側の鼓膜を食い破られ、それでも退校しない巡査に、涙する。2024/11/04
hit4papa
350
警察学校を舞台としたミステリー連作短編集です。文庫の裏表紙のあらすじに、「既視感ゼロの警察小説」とありますが、確かにお目にかかっていないジャンルの作品です。警察学校初任科第98期短期過程に入校した生徒たちを待っていたのは、教官 風間公親。風間は、生徒たちの中から不適格者を厳格に見つけ出し、排除していくルールブックのような存在です。抜群の論理思考の持ち主で、あくまで冷徹な言動を貫く風間。そんな中でも、ふっと優しさを垣間見せるキャラクター設定が秀逸です。生徒たちは、警察官として旅立つことができるのか・・・。2020/01/21
bunmei
306
警察学校を舞台とした連作小説。確かに今までにないアングルで、警察学校を取り上げ、そこに潜む裏や影の部分に、鋭くメスを入れた作品です。ある意味、サスペンス的な戦慄を感じるほどの内容でした。警察官になるための鍛錬とし称して、弱みにつけ込む体罰教官。警察官としての毅然とした縦社会をたたき込み、服従精神を養い、それに耐え抜ける学生のみを篩いに掛ける教場。また学生同士においても報復・復讐・足の引っ張り合い等によって、追い詰められていく者。物語とは言え、警察学校はこれで良いのか?・・・と疑問も抱く内容です。 2019/08/30