内容説明
広州の防備を固め英国海軍を迎え撃つ林則徐だったが、敵は守備の薄い定海まで北上、難なく占領する。北京では政敵の軍機大臣・穆彰阿が林の排除を道光帝に献策、これにより林は欽差大臣を罷免される。その後停戦が成立するが、香港割譲を含む諸要求を突きつけられ、皇帝は激怒、再び兵を起こす。(全4巻)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
127
戦争と言っても清が攻めに行くわけではない。ひたすら受け身。皇帝はその場から遠くにいるために、使者の裁量が大きくなる。元は強硬派だった林則徐は左遷。阿片禁止穏健派が政権中枢にくると、林則徐の首を英国に差しだして停戦を求めようとする動きまでおこる。英国側も一枚岩ではない。商取引きを優先させようとする現地側と、あくまでも屈服させ港を割譲させようとする本国。交渉は進まないままだが、戦局はじりじりと清にとって悪くなっていく。作者陳氏の創作の部分や、独自見解もかなり入っていると思われ、読んでいて戸惑うところも多い。2017/05/06
しんすけ
17
林則徐が更迭される。阿片厳禁論の立場の彼はイギリスに厳しい態度で臨んだ。 それが、イギリスの中国侵略に繋がったとする清国上層部の判断による。 だが林則徐が厳禁論の立場を貫いたのは、中国国民の生活を重んじてのことだった。 後任の琦善は太鼓持ちのような鮑鵬を使ってイギリスに追従する。だがイギリス側の印象は悪く、「林則徐のほうがまだよかった」とさえ思わせるのである。 そして後任の対応の悪さから、戦争はさらに激化する。2020/10/16
シュラフ
13
阿片戦争(1840~1842年)をテーマにした作品。「のちに財産を没収されたとき、琦善は家に現金で洋銀千万ドルもあり、八十数軒の質屋、商店、倉庫を所有していることが分かった。」清朝政府の腐敗はひどく、末端の役人に至るまで賄賂が浸透していた。政府の腐敗は人心の退廃を招く。当時の中国社会に阿片が浸透していったのには、こうした政府の腐敗による人心の退廃もあったのだろう。阿片戦争は英国の野蛮もあったが、当時の中国にもつけ入る隙があったということ。社会の安定には公平性による規律が必要であることを肝に命じるべき。2024/07/14
BIN
9
ついに始まった本格的戦争・・・と思っていたら、英国を刺激したくない保守派のせいで林則徐がせっかく強化した軍備・軍勢を弱体化させて難なく占領され、そのままずっと破れ続けるという情けない始末。官軍の質が悪すぎるし、将軍が無能でやる気がない奴らばかりなので、ある意味負けて当然。有能な将軍ばかりが死んでいってますます無能ばかりが残る悪循環。4巻もこの連続だろうなあ。それにしても林則徐の出番がほとんどない。。。2018/12/19
Tanaka9999
4
戦闘行為が始まった。しかし、清は衰退期でしかも異民族政権という状態。先の歴史を考えるとやはり漢民族の民族意識(または地域意識)というものは大きいか。イギリス側は帝国主義な時代。実利よりも栄光を求めるという考え方。この時代からある意味では中国側はしたたかなのかも。しかし次の時代を見えていたという(この人物は作者の設定?)商人のような人物はどこまでいたのだろうか2018/09/27
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