内容説明
【宮城谷昌光作家生活25周年記念作品】
天下をめぐる項羽との決戦は、最終局面・垓下(がいか)の戦いへ――
楚漢戦争、ここに終結!
項羽軍は秦の大軍を撃破、最大の宿敵・章邯(しょうかん)を下す。
一方、秦王嬰(えい)は劉邦に降伏、劉邦は秦の都・咸陽(かんよう)に入る、待っていたのは酒と美女であった。しかし、関中(かんちゅう)への入り口である函谷関(かんこくかん)を閉じた劉邦に反感を抱いた楚の軍師・范増(はんぞう)は、項羽に劉邦を討つことを進言。事態を把握した劉邦は鴻門(こうもん)に赴き、項羽に謝す。
項羽は西楚霸王と名乗り、劉邦を巴、蜀、漢中の王に封じた。劉邦にとっては「左遷」である。
項羽と天下を争うことを決意した劉邦は、韓信を大将に登用し、関中への兵を挙げる!
劉邦は趙、魏、韓、燕、漢の56万の連合軍を率いて項羽攻略に向かうが、奇襲に遭い……。
「背水の陣」「四面楚歌」「左遷」……数々の故事成語が生まれた、中国史上最大の戦はついにクライマックスへ。
自らの信念を曲げ、項羽との和解を破った劉邦の真意とは?
決死の反撃を繰り出した項羽の運命やいかに?
二人の男がぶつかるとき、中華全土に閃光が走る!
「天がわれを滅ぼそうとしているのであって、戦いに罪があったわけではない」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
225
宮城谷昌光が描く『項羽と劉邦』の世界。 個の項羽と集の劉邦を どう描くのか、興味が あったが、劉邦視点のこの 本、やはり項羽の存在感が ゆるく物足りない。 だが、鴻門の会から、垓下の戦い…張良、韓信が活躍する 様は面白く、項羽と劉邦の 死闘と斉を制した韓信の 立ち位置は、改めて読むと 興味深い。 虐殺の限りを尽くした 項羽の末路ははかなく、 読むたびに漢文の授業を 思い出すのがなぜか 可笑しい、そんな巻だった。2015/11/22
hiro
111
劉邦が項羽を破り、前漢の初代皇帝になるまでの下巻。この本を読むまでは、四面楚歌、虞美人で項羽の印象が強かったが、『劉邦』全三巻を読んで、劉邦の人となりを知ることができた。しかし、読み終えて何か物足りなさを感じるのも事実。たとえば、自分のなかの信長、秀吉、家康のイメージは、小説を読んり、映像作品を観ることによって、かたちづくってきたように、項羽と劉邦についても、司馬遼太郎の小説や横山光輝の漫画を読んで、もう少しイメージをはっきりしてみようと思う。ただ、これが紀元前200年以前の話ということに驚く。2015/09/26
巨峰
72
著者の既刊に比べると駆け足になることなく楚漢戦争の最後まできっちり書かれているなと思いました。ただ、よく知られている歴史だけにフィクションを挟める余地は少なかったのかも知れない。 紀信や周苛を惨殺されて哭く劉邦の姿が印象に残りました。司馬さんの「項羽と劉邦」を上書きして保存するほどの作ではないけど、名前を付けて並べて起きたい作品ではあります。2015/07/15
姉勤
43
漢中を制し、王に列した劉邦だが、局地戦は上手くなく、張良の権謀と蕭何の内政にて危うさを補う。 行動の規範を義理人情に置いていた劉邦も、皇帝という公人の義務と責任から、小人の仁から離れていく。不本意ながらも韓信、彭越など私欲で動く人材をもつかう「成長」した劉邦と、あくまでも自らの戦闘力を持って天下を図る「そのまま」の項羽。物語の主人公としてと問うも答えるも野暮。とにかく楚漢戦争という災厄は閉じる。2015/11/03
123
37
上・中・下巻。読みきった!今まで、深く理解していなかった項羽と劉邦の時代。全体の流れをよく把握することが出来た。どうように劉邦が漢王朝を設立したのかが気になり、本下巻を一気読みしてしまった。ただ、前述の通り、この時代の初心者である自分が歴史を俯瞰するうえでは非常に秀作だったと思うが、物語としては淡々とした印象。文量の制約はあるとは思うが、魅力ある登場人物達の活躍をもっと感情移入できるように描いてもらえるともっと良かったかなと思う。あと、項羽が三國志時代の呂布に思えて仕方がない。2015/08/28
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