集英社文庫<br> ミシェル 城館の人 第一部 争乱の時代

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集英社文庫
ミシェル 城館の人 第一部 争乱の時代

  • 著者名:堀田善衞【著】
  • 価格 ¥715(本体¥650)
  • 集英社(2015/07発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 180pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087477498

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内容説明

不朽の名著「エセー」の著者モンテーニュはどのようにして自らの精神を確立していったのか。彼が生きた16世紀は後にルネサンスと呼ばれたが、この時代はまた、イデオロギー抗争が渦を巻き、暴動、虐殺、陰謀がうごめく時代でもあった。モンテーニュは、樅の巨木の生い繁る城館で、自らの思想を深めていった。長編“モンテーニュ三部作”第一部。和辻哲郎文化賞に輝く名作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

45
16世紀は、カトリーヌ・ド・メディシスによって王権が不安定に揺れ動き、長引く宗教戦争にフランスが疲弊した時代。裕福な商人だった祖父がモンテーニュの領地を買い取って貴族と成り上がったように、フランスの貴族世界も大きく変化していた。落ち着きのない騒乱の時代に、他者から切り離されラテン語の身で育てられた少年ミシェル。この本では、『エセー』には書かれていない裏事情まで詳しく記されており、ミシェルの生きた時代や彼の精神構造のバックボーンとなるものが本当によく分かり、『エセー』で書かれていることがいっそう深いものに。2016/04/18

松本直哉

22
ラテン語とフランス語、ボルドーとパリ、カトリックとプロテスタント、貴族と庶民、勉学と色欲など、様々の二重性を生きるのを余儀なくされたこの男には、不変の真理への追求よりもむしろ、物事を離れた場所から相対的な様相のもとで観察するほうが性に合っていたのだろう。ボルドー近郊のモンセギュールでの改革派信徒の大量虐殺は、数世紀前の同じ場所でのカタリ派弾圧の歴史を想起させずにはおかない。表向きはカトリックを信奉しつつも、宗教ゆえの殺し合いを間近に見聞きした彼が、38歳の若さで濁世から隠居したのも理解できる。2023/01/13

呼戯人

16
堀田善衛は大部のゴヤの評伝を書くために、スペインに長く住んだように、このミッシェル・ド・モンテーニュの人と時代を書くためにフランスに住んだのだろうか。長くフランス文学に親しんだ堀田の力量が遺憾なく発揮された大作。フランス・ルネサンスの騒然とした時代に成り上がり貴族の息子として生まれたミッシェルが、ラテン語教育を受けて、疎外感を抱きつつ育ってゆく様子が描かれる。ミッシェルの唯一の著作「エセー」は、後に、デカルトやスピノザに大きな影響を与えた。現代でも、エリック・ホッファーのように暗記するまで読む人がいる。2017/02/10

風に吹かれて

12
16世紀は争乱の時代だった。フランス、イギリス、ドイツ、スペインなど権力を得ようとする人々同士の複雑な婚姻関係から、必然的にひとつの国の問題はヨーロッパ全体の問題になっていった。そういった時代とフランスの貴族モンテーニュの生涯を、幅広い読書や思索を踏まえて描く。その時代状況、その時代に生きていた人々、時代の変化など、堀田氏の視線の向けどころが興味を惹く。時代状況を丹念に描いた第一部は、モンテーニュがボルドウ高等法院審議官を辞するときまで。2018/11/17

朝乃湿原

8
『エセー』の復習のための読書。第一巻「争乱の時代」はミシェルの曾祖父からミシェル38歳の引退までが舞台。16世紀フランスの国内はまさに混沌複雑であり、アンリやらピエールやら同じ名前の人物が登場するので、把握するのに難儀した。しかし『エセー』からの引用文とその背景については、同書を予め読んでおいたので、深く理解できたように思える。それにしても宗教戦争といいながら、宗教と信仰は国権争いの二の次であったのには驚く。モンテーニュ領の周辺はプロテスタント派によって満たされており、カトリックのミシェルには大変脅威だっ2023/10/13

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