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内容説明
日本を破滅へと導くことになった陸軍の独断専行はなぜ起きたのか? 彼らはいかなる思想の元に行動したのか? 日本陸軍という日本の歴史上、特異な性質を持った組織がいかに形成され、ついには日本を敗戦という破滅に引きずり込みながら自らも崩壊に至ったのか? 日中戦争未解決のまま勝算なき対米戦へ突入、リーダーなき陸軍は迷走を続け、膨大な数の犠牲者を出し日本は無条件降伏する。全3巻完結!! (講談社現代新書)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
18
シリーズ完。 著者の研究によると皆アメリカとの開戦避けたかった、とのことで、じゃあ、なぜ、あんなことになったのか、は結局あまりすっきりしない。2020/09/21
無重力蜜柑
12
一巻を読んでから一年半。少しダラダラ読み過ぎた。単巻で理解できる構成なので問題はないが。この巻で扱うのは第二次世界大戦開戦~太平洋戦争開戦まで。昭和陸軍を率いた軍人たちの戦略構想に焦点を当てた本なので、真珠湾攻撃以降の話はあまりしない。構想がグダグダになっていくだけの過程だからだろうか。悲しい。とはいえ、開戦までの日本陸軍はちゃんと理性をフル稼働させているように思える。昭和陸軍への偏見を書き換えてくれる記述の多いシリーズだが、本巻では彼らが対米開戦の無謀を的確に認識し、回避に全力を挙げていたのが印象的。2023/10/18
skunk_c
11
シリーズ完結編。一夕会・統制派の理論的支柱永田鉄山・石原完爾の思想をそれぞれ引き継いだ武藤章、田中新一の構想を軸に、対米戦争突入までの経緯が詳述される。三国同盟に懐疑的な武藤は対米戦を避けるべく外交交渉に期する一方、三国同盟を支持する田中は初め対ソ参戦、次いで対米参戦を強硬に主張して対立、両者の影響を受けた東條が仲裁役となる。しかしイギリス崩壊がアメリカを封じ込めるという考えに対し、当のアメリカはそれを防ぐために対日参戦を考えるという歴史の綾。そして日本に欠けていたのは「いかに負けるか」ではなかったか。2015/08/02
CTC
8
川田稔氏の昭和陸軍全史シリーズ第3弾は、三国同盟締結以後より太平洋戦争終戦までを描く。一般的に、先の戦争期には軍部が確たる国家構想もなく暴走した、といった語られ方をし(例えば司馬史観)、それは大まかには的を射ているのだろうが、著者は一連のシリーズでその見方に棹差している。一定のビジョンを持った陸軍中堅幕僚として、永田、石原、武藤、田中の名を挙げ、その政戦略を通して昭和陸軍の国家戦略の平仄がプロットされる。この巻は前述の時期の詳細な国際情勢と、対米戦を避けようとする武藤、対米戦必至とみる田中、を中心に描く。2015/08/20
BLACK無糖好き
7
三巻は太平洋戦争突入から終戦まで。対米戦を回避すべくギリギリまで対米交渉を主張する武藤章陸軍省軍務局長と即時対米開戦決意を主張する田中新一参謀本部作戦部長。この二人は永田鉄山の構想がベースにあるが、石原莞爾とも近かった田中の中で対米開戦前に石原の構想が再出するという著者の視点は興味深い。日米開戦前後の東条英機は武藤と田中の構想によっていたという。一方でアジアの諸民族を白人帝国主義下の奴隷的境遇から解放するとしながら、実質的には資源略奪となる事も陸軍内では明確に認識していた。(^^;;2015/10/01