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内容説明
日本を破滅へと導くことになった陸軍の独断専行という事態はなぜおこったのか?彼らはいかなる思想の元に行動していたのか?日本陸軍という日本の歴史上、特異な性質を持った組織がいかに形成され、そしてついには日本を敗戦という破滅に引きずり込みながら自らも崩壊に至ったかのプロセスを描く3部作の第2巻。統制派と皇道派の抗争と統制派の勝利、勝利を得た統制派の指導の下、日本が泥沼の日中戦争へと突入する過程を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
本木英朗
19
満州事変後、陸軍を主導した一夕会に生じた内部対立、永田暗殺や二・二六事件を経て泥沼の日中戦争への突入、アメリカによる日米通商航海条約の破棄通告までを詳述。もはや引き返せない道を歩んでいるのだなと、つくづく感じる。自分たちに有利な構想が実現することを前提に、困難な現実を否定しようとする愚かさ。それは陸軍に限らず、海軍や内閣ですらそうだった。それが日本社会の構造に由来するのか、日本人の国民性に由来するのか。せめてここから何かの教訓を得なければ救われないと、日本人として思う。暗澹たる気分で下巻へ。2016/08/21
無重力蜜柑
18
満州事変から日中戦争、太平洋戦争開始直前までの陸軍の内ゲバと戦略思想の話。よく言われる統制派と皇道派の対立が思想というよりは派閥人事的なもので、両者のビジョンに決定的な対立がなかった(あるとしても対中政策くらい)というのは面白い。そもそも決起した青年将校層は真崎ら皇道派とは別勢力と捉えた方がいい。統制派のヘゲモニー確立後は「次期大戦に備えて総力戦体制を構築すべし、満州と中国の資源を確保すべし」という永田鉄山の構想が「次期大戦への日本参戦は不可避」という認識上の前提となり、日中戦争の中で呪縛なっていく。2022/11/21
榊原 香織
16
満州事変ー5.15-2.26-日中戦争と重いのが続々。 永田鉄山、石原莞爾、武藤章、濃い人が続々。シリーズ本の2(全部で3巻) 2020/09/17
BLACK無糖好き
10
二巻は満州事変後日中戦争へ入り込む中での陸軍の動向が書かれている。派閥抗争で永田鉄山が斬殺される。二・二六事件後陸軍の政治的発言力が急速に増大して軍部大臣現役武官制も復活。永田直系の武藤章と石原莞爾との間で日中戦争拡大・不拡大の路線対立が起き石原が失脚となる。武藤も日中戦争を「大和民族と支那民族との民族的抗争」とみていた。東亜新秩序も五族協和の精神や共存共栄の道義的理念にもかかわらず本質において「大和民族による支配」と陸軍内部でも認識していた。高邁なる理想の裏の現実が見えてきます。2015/09/28
れぽれろ
10
シリーズ第2弾、日中戦争期の陸軍の動向を纏めた一冊。満州事変後、陸軍は永田鉄山らを中心とした統制派と小畑敏四郎らを中心とした皇道派に分かれ抗争、永田鉄山は暗殺され皇道派は排斥されるに至ります。その後永田鉄山の遺志を継ぐ武藤章、及び満州事変の推進者である石原莞爾が陸軍を主導しますが、盧溝橋事件をきっかけに対中戦強硬論の武藤と反対論の石原が対立、石原は失脚し武藤が日中戦争を推進していきます。永田・小畑・石原・武藤らの構想が分かりやすく紹介されています。近衛内閣が陸軍より日中戦に積極的であったことも印象的です。2015/07/05