内容説明
──死ね。死ね。 天井から聞こえる微かな物音。少年の意識には、その音が狂おしく囁いているように思えた。そして……。 社で始まる「虫おくり」の祭りの準備中、街では蜂の被害が広がっていた。被害は主に、信乃歩の学校で自殺した少年の住む地域で起きていた。そして少年を虐めていた人間がまた一人、犠牲になっていく。果たして呪いと虫おくりの関係とは──。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まりも
47
「虫おくり」祭りの準備が始まった中、七谷地区よりも深い山奥にある集落を中心に蜂の被害が広がっていく…な話。田舎と言えば穏やかなイメージがつきものですが、今作はそんな田舎の負の一面をえげつないまでに描ききってますね。世界が狭いからこそ、そこで起きる虐めの陰湿さ、人間関係の醜悪さは心底気分が悪くなりました。これを読むと田舎に対する理想が消え去るわw 展開はさっぱりしているのに、内容がドロドロしているから後味の悪さもハンパないです。しかしそこがこの作品の魅力でもあるんですよね。次巻の刊行はあるのだろうか…2015/05/27
そのぼん
38
痛い、痛すぎる・・・。虐めが原因で自殺した少年。それが元で巻き起こっていく恐ろしい出来事が描かれていました。そして、痛々しい描写が相変わらずうまく描かれていました。ホラーが苦手な人はとてもじゃないけど甲田学人の作品は読めないだろうなって思いました。2013/10/22
プリムローズ
25
虐めは呪い、という言葉に考えさせられました。嫌なもの不快なものを、何かに押し付けて消し去る。古くから行われてきたことで、身近にありふれたこと。でも、押し付けられたものにとっては、たまったものじゃないですよね。なるべく自力で、どろどろした物を消し去りたいなと思いました。そして、そろそろ夢人と薫の婚約のいきさつが知りたい!気になる! 2013/10/02
よねはら
19
甲田学人×虫がろくでもないことになるのは重々承知していましたがこれは…。読んでるこちらまで体が痛んできそうな惨事に震える一方で、夢人の講釈はなかなか考えさせられるものがあり、独特の面白さがあります。「共同体における害悪・異物の排斥」という観点で祭りも虐めも同じだとバッサリ断じてしまうとは。甲田作品のこういう所が好きなんだよなあと再認してしまうのでした。2013/09/20
アウル
18
村八分による虐めと呪いの組み合わせ。加害者側の意識がただただ不快に思った。蜂による呪いは怖いと言うよりも痛みのほうが勝っているな。この巻は色々考えさせられる巻だった。鬼ごっこが日本における最も基本的な「呪い」のシステムと言われてみたらなるほどなと思う。2013/10/10