内容説明
紀元前3世紀末、秦の始皇帝は中国史上初の統一帝国を創出し戦国時代に終止符をうった。しかし彼の死後、秦の統制力は弱まり、陳勝・呉広の一揆がおこると、天下は再び大乱の時代に入る。――これは、沛のごろつき上がりの劉邦が、楚の猛将・項羽と天下を争って、百敗しつつもついに楚を破り漢帝国を樹立するまでをとおし、天下を制する“人望”とは何かをきわめつくした物語である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
383
現代でも誰でも知っている故事成語を数多く生み出し、人気漫画『キングダム』の終了直後であろう時期からスタートするという、ある意味タイムリーといえる楚漢時代の物語。幕開けは司馬遼太郎の神視点からの語りが多く、慣れていないと単調に感じるかもしれないが、徐々に視点が登場人物に歩み寄り始めると、ぐいぐい引き込む楽しさがある。上巻ではまだ項羽も劉邦も本領を発揮しているとはいえず、先に備えて秦国の腐敗っぷりを楽しむ感じ。章邯が個人的なお気に入り。終盤でいよいよ項羽の野性が際立ってきて、中巻では早々に張良登場か。楽しみ。2021/07/01
遥かなる想い
150
項羽と劉邦の戦いを単なる「戦」だけではなく 穀物を交えた視点で描写しており、新鮮味があった。司馬遼太郎は中国史も描けるのだ、と奇妙な感想を持った記憶がある。それにしても、中国の歴史は奥深い。英雄が多い・現代に伝わる故事逸話が多い、そして何といってもスケールがでかい。2010/07/31
ゲンキ
127
吉川英治さんの三國志と司馬遼太郎さんの本書は、長く、多くの経営者に読まれ続けている本と、何かに紹介されていたので、読んでみました。秦が滅び、章邯が殺される話まで書かれている。私が楽しみにしていた劉邦や項羽はあまり出て来ず、序章って感じがしました。まぁ、その二人が登場して来るまでの背景が勉強出来たので、良かったかなぁ😃。2巻目以降が楽しみです❗️2021/12/13
ehirano1
121
良い本なのですが、どうしても『赤龍王(本宮ひろし)』のインパクトが強すぎて・・・・・。2015/04/15
レアル
109
何度目かの再読だが、読む度に司馬遼太郎氏のこの作品は登場人物も重要人物のみで、淡々とスムーズに物語が進む印象がある。それなのに、その時代の背景まできちんと書いてくれているので読んでて理解しやすい。。上巻は秦の滅亡辺りから項羽と劉邦の登場や戦いを時代と共に紹介されている。中国史の壮大なロマンの始まり!2014/11/26