内容説明
無骨で不器用だが、人生の情を知る愛すべき男たち。仲間を売る『卑しき道』を歩む監察官、悪党から鮮やかに金を奪う詐欺師、雨の酒場で一夜ブルースを奏でる見知らぬ男……故風間一輝の傑作ハードボイルド短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
115
ハードカバー『されど卑しき~』を改題して、短編2編を加えたもの。追加された2編はどちらも詐欺師「滝川直次」が登場します。相変わらず鮮やかな手口で相手を見事に騙す描写は痛快です。ターゲットが決して見境がないワケではなく、むしろ犯罪者、悪者を相手に仕掛けていくスタイルが好ましいです。自分に絶対な自信は持ちつつも、決して過信することなく、淡々と仕事を進めるスタイルは詐欺だろうが何だろうが、シビれますね。本作の一編が映像化されており、仲村トオルさん主演とのコトで解説も書かれています。風間さんの世界、好きだなぁ。2022/06/20
じいじ
112
読友さんの熱烈レビューで手に取った。いいねぇ、サイコーだね、面白いよ。この作家。斜に構えた文章でぐいぐいもっていかれる。話の筋立ても上手い。主人公の男は、どいつもカッコいい!周りの女が放っておかない男前。出だしの連作3篇は、表向きはエロ雑誌のカメラマン、裏の仕事が詐欺師の中年男が主人公。まっとうな素人・老人は相手にしない、腹にいち物ある連中がターゲットなので痛快だ。相手をじらす詐欺師の言葉の妙には感心する。ハードボイルド作家の短篇は愉しめた。腰を据えて長編も読んでみたい。2017/10/17
はつばあば
64
ええかげんにして欲しいわ・・なんでこんなにカッコイイ男が私の周りにいてへんのや"(-""-)"。爺様の不器用な愛はようわかってる。そやけど・・弱いもん。いや、私と対等はアカン。私に勝ちを譲ってくれる男ハンやないと・・。平々凡々の毎日をくれる爺様に感謝しときますわ(#^.^#)。皆さんも刺激は本だけにしといた方がよろしいかと2017/08/08
ココ
36
昭和のちょっと湿り気のある香りを感じる、大人のエンタメ小説。どしりとして、篤実で、本物の強さをもった男達の登場に「き~っ!たまらない」。酒場のカウンターとイイ男、女の入る隙を与えないところが格好いい。初読み作家さん、素敵な出会いでした。2017/10/25
ヤスヒ
18
読メをはじめてから存在を知りすっかりファンになってしまった風間作品。いまや中古でしか入手できないので探しに探してようやく手に入れた一冊。9つの短編が[笑え][泣け][感じろ]という3つのテーマに3つずつ収録されている。[笑え]では風間作品に欠かせない深志荘の住人からカメラマン兼詐欺師の滝川が初登場。滝川の騙しの手口は鮮やかで安心して読ませてくれる。そして魅了させてくれる。また[泣け]では『漂泊者』で散々かっこよさを見せつけてくれた国分も登場。そして『男たちは北へ』のスピンオフ作品も!…もう全てに大満足!2012/09/28