出版社内容情報
犬神家の一族;獄門島;本陣殺人事件;八つ墓村;金田一耕助;ビブリア古書堂の事件手帖;ビブリア;有栖川有栖;三上延;加藤シゲアキ;市川崑;石坂浩二;由利麟太郎;悪霊島;悪魔の手毬唄;江戸川乱歩;山田風太郎;高木彬光;吉川晃司
内容説明
駆け出しの小説家松原浩三は、暗い夜の町で偶然行き会った若い女の異常な様子に不審を抱いた。だが、女がとび出してきたというくぐりの中に警官と踏み込んだ彼は戦慄した!軒灯にヤモリが這うクモの巣だらけの無気味な家、縁側から真っ赤な猫の足跡が続き、血の海と化した座敷には、無数の切り傷から鮮血をしたたらせる全裸の女の死体が…。名探偵・金田一耕助はこの謎を解けるのか。横溝正史の傑作長編推理小説。
著者等紹介
横溝正史[ヨコミゾセイシ]
1902年、神戸市に生まれる。旧制大阪薬専卒。26年、博文館に入社。「新青年」「探偵小説」の編集長を歴任し32年に退社後、文筆活動に入る。信州での療養、岡山での疎開生活を経て、戦後は探偵小説雑誌「宝石」に、『本陣殺人事件』(第1回探偵作家クラブ賞長編賞)、『獄門島』『悪魔の手毬唄』などの名作を次々と発表。76年、映画「犬神家の一族」で爆発的横溝ブームが到来。今もなお多くの読者の支持を得ている。81年、永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫陽花
42
数十年ぶりの再読。昭和30年代の作品ですが、読みやすかったです。解説にも書いてあったのですが、この本はトリック重視の本ではありません。人と人との繋がりを重視した内容となっています。悪徳霊媒師…。いつの時代にもいますね。金田一耕助が脇役…。珍しいですね。物語はまぁハッピーエンドとなるので、読後感も良かったです。意外と良い本でした。2022/06/16
coco夏ko10角
23
金田一耕助シリーズ。金田一耕助の出番はほとんど無く、主人公は小説家・松原浩三。霊媒師が殺されて始まったが、途中からは建部多門とその男に関わった女性たちがどうなっていくのか…。他の作品とはちょっと違う感じでこれはこれで面白かった。2022/03/18
nishiyan
12
偶然に行き当たった若い女性の不審な行動に疑問を抱き、彼女が飛び出した屋敷に警官と踏み込むと女性霊媒師・宇賀神薬子が無残な姿で殺害されており、その事件に駆け出しの小説家・松原浩三が挑む金田一もの。金田一耕助はほとんど現れず、ことの顛末を見守るかのような立ち位置でいるのが特徴的な本作。捜査が暗礁に乗り上げると薬子の師である建部多門を巡る入り組んだ人間関係と翻弄された女たちの悲喜こもごもに焦点が当てられ、これが事件解決へと結びつくのだから興味深い。勧善懲悪とメロドラマ的な展開の果てのラストは寂しいものがあった。2022/01/31
芋猫
10
乱歩的ホラーだった前回の『幽霊男』とは全く違った雰囲気、というかこれまでの耕助シリーズの中でも独特な作品だった。霊媒師の宇賀神薬子が惨殺される事件がメインではあるものの、関係者全員の行動がそれぞれ謎すぎて、犯人云々よりも物語全体の真相を知りたい!という気持ちがめちゃくちゃ煽られた。耕助を中心に据えるのではなく、事件に寄り添う第三者に留めているのが効果的すぎる。恐るべし横溝正史!2023/03/04
餅屋
10
昭和29年の金田一探偵、昭和28年説のほうがしっくり▼暗い夜の町を散策していたかけ出しの小説家。軒灯にヤモリが這うクモの巣だらけの無気味な家、まっ赤な猫の足跡が続く座敷には女の死体が▲三津木記者もしくは由利先生が出てきそうな雰囲気で、出てくるのは金田一探偵。それも、ちょいとなんですが、なんとも趣きある良い作品。大戦後の新宗教を絡めた、サスペンス調の偽ハードボイルド。登場人物が一癖も二癖も、依存症もあり、何処へ運ばれるか分からない不快さ、愉快さ。表紙にするならニャンコをもっと絡めてほしかったな(1955年)2022/04/08