集英社文庫<br> ゴヤ III 巨人の影に

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集英社文庫
ゴヤ III 巨人の影に

  • 著者名:堀田善衞【著】
  • 価格 ¥715(本体¥650)
  • 集英社(2015/04発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 180pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087466584

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内容説明

19世紀初頭、ナポレオン率いる仏軍の侵入により、スペインは無政府状態に。病気により聴覚を絶たれたゴヤは、マドリードで見た、血みどろの戦争の宿命的結果を、版画集『戦争の惨禍』等にまとめ、“描きながら告発する画家”として新境地を切り開く。1812年、妻に先立たれ、60代半ばで孤独になったゴヤは――。彼が遺した数々の絵画・版画作品と共に波乱に満ちた人生を追う傑作評伝、第3巻。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かふ

22
ナポレオンのスペイン支配から抵抗する市民のゲリラ戦。しかしそれは憎しみが憎しみを生む殲滅戦の様相を帯び、ゲリラ側もフランス人を刀で切り刻み肉屋に吊るす、フランス側は問答無用で市民を整列させて銃殺する双方の弔い合戦の様相。ゴヤの絵とナポレオンのスペイン支配の関係はそれまで宮廷画家だったゴヤが宮廷画家ではいられなくなるスペインの現実を銅版画『戦争の惨禍』として出版。戦場カメラマンの報道写真のような目をそむけたくなるゲリラ側の残虐行為からフランス側の弾圧や略奪暴行シーンまでの1980年から1990年まで82枚。2021/09/09

A.T

21
第3巻は、スペイン史を全く知らないわたしには仰天の連続だった。ナポレオンのよるヨーロッパを巻き込む戦争が、1808年にスペインでも巻き起こる。5月2日と翌3日のマドリードの一般人民とフランス軍との殺傷事件と銃殺刑を発端にして1814年の独立国家樹立までのむごたらしいゲリラ戦。その戦争を前に描いた「着衣のマハ、裸のマハ」の制作から始まり、戦争の実録版画集「戦争の惨禍」、ナポレオンに幽閉されていた新国王フェルナンド7世を迎える絵画「5月の2日」「5月の3日」の10年余りの画家の変貌は国家と完全にリンクする。2018/04/28

まると

18
戦禍に見舞われたスペインの歴史をたどりながら、作品の解釈が続く。版画集「戦争の惨禍」で、ハゲタカの肛門からひねり出されたローマ教皇は、民衆の頭上で綱渡りをさせられる。未消化の人間を吐き出す獣には、何の寓意を含ませたのだろうか。食傷気味になったところでようやく「5月3日」の解釈に入る。堀田さんはやはりこの絵に衝撃を受けたようで、細部まで観察し、磔刑に伏す(ゲリラの)キリスト、幼子を抱いた聖母マリア、ゴルゴタの丘の内意も見いだし、「悲劇的なまでに真に革命的」と評している。美術は読むものなのだと教えてくれます。2021/01/30

ヴェネツィア

17
3巻にもなって、今さらなのだが、この作品は単なるゴヤの評伝なのではない。 つまり、ゴヤを基軸にしつつ、18世紀後半~19世紀前半の歴史をこそそこに描きだしていたのだった。 3巻では19世紀が語られるが、それはナポレオンの登場によって形成、促進されて行く国民国家の世紀であり、そこには現代につながる問題をはらんでいた。 ヨーロッパ史の中でのナポレオンの位置づけと、意味づけが初めて分かったように思う。2012/01/05

湖都

14
この巻では、ゴヤについてほとんど知らなかった私のような人間でも見たことのある著名な作品がほとんど登場する。また、戦争、暴力を描いた残虐な図版も次々と解説される。著者ではなくても胸が悪くなるような、悲惨な死体の山だ。その意味では現代的な画家であったのかなぁと思う。残り一冊、本当の晩年はどうなるのか。2019/01/11

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