内容説明
依頼人の遺言を死後に叶える「遺言代行業」を営む藤川家。男女7人きょうだいが暮らす家に、祖母スナがやってくる。傍若無人に振る舞うスナに辟易し、早く帰って欲しいと願うきょうだいたちだが、スナは代行を依頼すると言って居座り続ける。他の依頼人の遺言内容にズケズケと無神経な発言を繰り返すスナの遺言とは……? 人と人との絆、心に秘めた想いを描く、静かな感動と癒しの物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
dr2006
43
預かった遺言を死後に叶えるという「遺言代行」を生業とする、異母兄弟の家族藤川カンパニーの第二弾。死後にしかも家族以外に代行して欲しい等という「遺言」は、決して安易なものではない、いやむしろドロドロしたものだ。故に藤川家に託された遺言はすべて難題だが、藤川ファミリーの行動力と家族愛にしてやられるのだ。家族に存ずる愛と憎しみは表裏一体というが、相反するテーマがうまく混じり合っている希有なストーリーと思う。連作短編で多くの登場する人物が出てくるが、人間関係が肝だけにその多さに少々戸惑う。第三弾もあるらしい(笑)2017/09/06
はつばあば
38
1巻目もそうだったけどこの表紙の優しさに似合わない、内容のある、毒気もある味わい深い本でした。31歳になったお人よしの長男から小学生のしっかりした妹の7人の異母兄弟が寄り添って生きている。その家族が携わる遺言代行。死んだ後の後悔など聞きたくはない。スナさんのように「一言足りない言葉」にならないよう・・いやいや私はしゃべりすぎらしいから、ちょっと控え目のブラック婆で過ごして、遺言に「ありがとう・楽しい人生だった」の言葉が言える家族を築いて終りたい。2015/06/28
ゆきちん
34
母親の違う7歳から30歳まで7人の子どもたちで暮らす藤川ファミリー。家族で力を合わせて遺言執行業を営む彼らの前に現れたゴッドマザー87歳スナ婆さん。父の実のお母さんなんだけど、もう毒吐きまくりで、引っ掻き回される。今回は「家族って何」が、ギュっと詰まった感じのホームドラマ。ドタバタほっこりスッキリ雰囲気のいい一冊。そうそう、ラスボスだと思っていた全ての元凶、イケメン放浪の写真家でロマンス詩人の父があっさり帰ってきてあっさり去っていった!もっともったいぶらなくて良かったの?(笑)続編も読むぞ〜2016/06/16
み
27
さくさくと♪このシリーズは、涙腺が緩まないのが不思議。思い残りなく生きましょ、しみじみ思います。2016/11/28
libra
19
今回はイライラさせられた、、、登場人物の嫌な連中に。なので、響野さんにはしてやられました。変則的な異母兄弟の家族構成に正統派じゃないけれど、ホームドラマっぽさを感じて好きになったシリーズ。相変わらず七重が貧乏くじを引いているので同情心に駆られて共感を覚えてしまう。なので、スナとのやり取りを読んでいる最中に、最後の詐欺まがいのおっちゃんに、、、とイライラ。このシリーズは父親が帰ってきたらごちゃごちゃしながらも大円団と思っていたので、三理が割とあっさり帰ってきて肩透かし。2016/04/02