内容説明
囚人番号345506、南の果ての記憶
2005年、奇妙な音声で録音された「Lost Dope」という曲が、日本のヒップホップ・シーンに衝撃を与えた。声の主は札幌出身のラッパーB.I.G. JOE。ヘロイン密輸容疑で逮捕され、オーストラリアの刑務所に服役中だった彼は、日本への国際電話を利用し、そのラップを吹き込んだのだ……。本書は、異国の獄中で過ごした日々を綴った、B.I.G. JOE 6年間の手記である。事件の顛末、裁判の行方、塀のなかの過酷な生活、そして、前向きに生きる力を与えてくれたラップという表現手段。収監中の身でありながら日本で発売された数々の作品は、どのように制作されたのか? 長い刑期のなかで彼は何を感じ、何を思ったのか? その全貌が、ついに明かされる。
目次
【CONTENTS】
■プロローグ
■密輸計画
■無言の取調室
■幻覚と選択
■裁判
■判決=Not完結
■愛と孤独と決別と
■新天地
■ジェイルで生きるための10の戒め
■グローバルな食生活
■ロスト・ドープ
■マッチョ・ワールド
■スタジオのある刑務所
■監獄ラッパー誕生
■母の面影
■ザ・犯罪学
■塀のなかの住人たち
■ドラッグ・ビジネス
■ミッドナイト・エクスプレス
■LIKE A 修道院
■生きることと創造すること
■6年
■フリーダム・フライト
■再会
■監獄ラッパー・イズ・バック
■解説:二木 信
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひとまろ
7
獄中でラッパー!?って思ってたけど・・・。 ラッパーとして活動していたのに 麻薬の運び屋をしちゃってオーストラリアで逮捕。 でもそこからがまたすごい! 監獄でラップを内緒で録音して日本に送ったり レコーディング・スタジオで作品を作ったり 国際電話使って外の世界に作品を発表したり 筋トレして身体を鍛えたりとかとにかくすごい! 束縛や制約がある中で知恵と行動力で 自らの伝えたいという気持ちを実現していく。 人は制約がある方が頭を使ってアイデアを出す生き物だ。 今回はそんなことを思ったね。。。2013/11/28
はすのこ
5
刑務所内での食生活の様子が興味深い。これを呼んだ後にlost dopeを聴くと印象が変わりそう。2015/11/15
I KNOW
4
北海道の雄BIG JOEの自伝記。当時リアルタイムでJOE氏が捕まりジェイルから、レコードをリリースしている事が話題になりました。ジェイルでレコーディングされた2NDアルバムは、僕も4LP2枚買いしました。JOE氏はやはりラッパーであるが為、自分の経験を曲にし、それをリリースできるという強みを持っていて、その根っこがあるからこそジェイルの中でも自分を見失わずに、-を+に変え、人間として大きく成長できたのだと思う。16章の犯罪学が刺さった。今JOE氏は旭川でCLUB BROOKLYNを経営しています。2024/06/21
ワッツ
4
著者のことは見たことも聞いたこともないが、ヒップホップに携わる人はおっかないとか野蛮だという偏見は、読み終えても特段変わるものではなかった。しかし、「ジェイル(監獄)で生きるための10の戒め」は、私のような生温くも心暖かな社会環境に生きている者にとっても、大変参考になるものであった。著者は劣悪な六年間の監獄生活でも、自分を見失わずに積極的に生きてきたが、我々の想像を絶するような所であったのだろう。人間、愛に生きることが全てということだ。2014/04/02
kera1019
4
確かに外国での収容というハンデは大きいし、女っ気もなく家族や仲間との隔離、自由と隔絶された収監生活というのはそれだけで耐え難いとは思うけど、タバコや電話はもちろん、囚人部屋には時間制限のないシャワーがついてたり、自炊も出来るし、刑務所の中でのスナップ撮影、購買でCDウォークマン、TVまで買えて、面会で家族とバーベキューまで出来るような環境って恵まれてるなぁ… オーディオエンジニア教室の修士課程を取って刑務所内のレコーディング•スタジオでアルバム作成って日本の刑務所では考えられないです。2014/03/23