内容説明
スキー場をかねた温泉宿からの「幽霊をまた出してくれ」との珍妙な依頼に、物部(もののべ)太郎が相棒・片岡直次郎と赴くと……。野天風呂で女性が裸のまま殺される騒ぎのなか、殺されたはずの女性からの電話!? 密室での新たな殺人事件、不可解なダイイングメッセージ……。『七十五羽の烏』に続き、太郎・直次郎の名コンビが活躍する、謎と論理のエンタテインメント。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hanchyan@つまりはそういうことだ
30
冒頭、映画の予告編のみたいに「口絵がわりの抜粋シーン」が5つあった後に、おもむろにタイトル・サブタイトル・シリーズタイトル。・・・はあ。ため息でますなあ。かっこイイ。・「え、なにそれ!?」っていうヘンな依頼&謎・伏線の上手さ巧みさ・江戸文化の蘊蓄あれこれ・媒体ジャンルを問わず古今の名作(名優)の豆知識・探偵&ワトソンの掛け合いの妙・奇妙な死体・暗号・密室・そしてエンタメ。ざっと数えた程度だが、以上あげた・に「お?♪」となった方なら、まず損はしないと思う。あ、あと、・湯煙・軽~いお色気、が抜けてた(笑)2015/10/22
katsubek
15
思えば都筑道夫の小説を読んだ最初の作品であった。35年前かな。軽妙なセリフ回しが魅力である。物部太郎シリーズ3部作の中では一番面白い。2015/12/19
やっす
14
冒頭の口絵替わりの抜粋シーンが良いですね。こんなの見せられたら読まずにはいられなくなります。物部太郎と片岡直次郎の探偵コンビの掛け合いは面白いし、何だかんだで見事に事件を解決してしまう太郎の名探偵ぶりもさすが。二つの腕時計の謎をスマートに解き、さりげなく張られた伏線が最後に活きてくるところも好印象。とても丁寧に作り込まれた本格ミステリでした。その反面で、今ひとつパンチに欠ける印象も受けた。冒頭の抜粋シーンの内で腕時計の謎以外はあまり真相に寄与していない様に見えるのがその理由かもしれません。2016/07/16
てっちゃん
3
2時間ドラマを見たような印象。でも悪い意味ではなくて、細かい伏線がちりばめられていて、最後にちゃんと回収されていて、上手いなぁと思う。都筑さんの作品は本当に安心して読める。2015/12/13
あまの
3
物部太郎ものの二作目。七十五羽の烏から読むべきだったか?吹雪の山荘ものでクローズドサークルの原点とも呼べる。今読んでも十分面白い。作中のタバコ「ソブラニイ ブラックアンドゴールド」は現在では売られていないようで、想像はブラックロシアンで。2013/05/09