内容説明
旧家に起こった殺人事件は、千年も前に怨(うら)みを残して死んだ姫君の祟(たた)り!? 登場するのはまったくやる気のない探偵、ものぐさ、いや物部太郎(もののべたろう)――。作者は文中で(見出しも含めて)、ひとつも嘘をつきません。そして事件解決の手がかりは、すべて読者の前に明示されます。鬼才が精巧に練り上げ、フェアプレーの精神で読者へ挑戦する本格推理ファン必読の傑作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
popo
10
物語の初めから、いきなりトランプを合わせて屋根みたいなのを作るとこから始まり、そしてそのやり方を図で書いてあったりと、型にハマらない始まり方が物語に引き込まれた!笑 それには、のちのち主人公がそうする理由があるのだが、 、 ミステリーと言えば必ず名探偵が出てくるのだか、、名探偵なんていません。 事件は幽霊に見せかけた殺人事件、、 七十五羽の烏なんて、ほぼほぼ、、最後らへんに、、笑 トリックというより、何か型にはまらないミステリーって感じでよく出来てるなぁーって印象でした!2018/04/22
bluemint
8
ガチガチの本格論理推理小説。なので犯人は全く意外な人だった、というわけではない。最近のどんでん返し大安売りに慣れてしまっているので最後にもう一波乱あるのかと期待してしまうが、シンプルに終わる。それでも一気に読むと、細かい手がかりの積み重ねで事件の真相が明らかになるということがよくわかる。著者はものすごく博識があるかたなので、平将門伝説について後の歌舞伎にも影響を与えた、善知鳥安方忠義伝を巧みに取り入れている。娯楽サービスは少ないが、最近では読めない種類の推理小説だ。2017/08/15
katsubek
8
かれこれ30年ぶりぐらいの再読。物部太郎シリーズの第一弾である。片岡直次郎との名コンビがここに誕生。心躍る本格推理小説。いいねぇ!2015/11/26
kagetrasama-aoi(葵・橘)
5
物部太郎と片岡直次郎のコンビによる、心霊探偵シリーズの第一作目。都筑氏が創作した探偵の中で、私が最も気に入っている探偵さんの一人です。心霊探偵と言っても、謎解きはフェアです。大金持ちの息子で”物ぐさ太郎”の子孫だと自称する、働きたくない太郎と助手の直次郎の掛け合いが凄く楽しいです。旧家におきた幽霊がらみの殺人事件、その旧家の様子や小道具、その土地のお祭りなど、読みどころ満載!都筑氏の江戸趣味や薀蓄を十二分に楽しめるストーリーだと思います。解決はちょっと物悲しくてそこもお気に入りです。2016/05/22
トトリベ
5
探偵役が披露する推理も同じように犯人が合理的に行動する本格推理の中ならではのものであり、実際にはそううまくいかないだろう。しかし、各節の初めに内容の要約が作者の言葉として語られる形式は、ミステリのゲーム性を強調したもので、そこが狙いだったのだろうと思った。物部太郎と片岡直次郎のやりとりは面白いが、小道具や舞台の説明が難しく、少し読みづらかった。2015/12/07