内容説明
鳥がどんなキモチで歌っているのか、歌う鳥のキモチに興味ありませんか?
鳥を識別や撮影の対象としてだけでなく、何をしているのか「解釈」しながら観察するのは実に楽しいものです。
本書は「歌う鳥のキモチ」に焦点を当てて、「鳥がなぜ歌うのか」「歌に込められた鳥のキモチ」を探っていく内容です。
歌は歌い手と聞き手がいてこそ成り立つ社会行動なので、歌に注目することで、鳥(小鳥)の社会、私生活が浮き彫りにされていきます。
第1章では「鳥の歌」について誰もが思う素朴な疑問(「春になると歌い始めるのはなぜ?」「夜明けに歌うのはなぜ?」「なぜ、ものまねしたい?」など)をひとつずつ解いていきます。小鳥の歌のさまざまな切り口・視点を紹介し、歌う鳥の「キモチ」がわかるようなります。
第2章はノビタキ、キセキレイなどを題材に、第1章で概観したことを実証、打ち破ろうとした著者の最新レポートです。キセキレイで個体識別を行って行動観察したイワオとピンコの夫婦の話など、生き生きとした小鳥たちの物語が展開されます。
第3章「歌う鳥の私生活」は、本書のメインディッシュです。歌声のレパートリーで個体識別されたクロツグミたちが、実にユニークで面白いドラマを見せてくれます。
第4章では、ビギナーを対象にした聞き分けの話や、歌のレパートリーによる個体識別方法を紹介しています。
鳥の「キモチ」や私生活、いきものの社会に興味関心のある方には必ずや楽しんでいただける内容です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
185
歌う鳥の本当の気持ちを知りたい。日が昇る前から我先にと声を響かせている、鳥たちの鳥たちのためのコーラス。人はどんな生き物も擬人化して捉えてしまうが、私たちの心地よい目覚めのためではないだろう。縄張りや求愛、遊びのための囀り。そんなに近づいてこないで。無駄な争いをしたくないんだ。私はここにいるよ。そんな風に聞こえてくる。なぜそんなに多様な音色を持ち合わせているのか、未だに不思議なことだらけである。本書は専門的な箇所もあったが、草木の近くで耳を傾ければ、今まで気づけなかった新しい美声に出逢えるような気がする。2023/07/14
マリリン
37
鳥の鳴き方(歌い方)には意味があるのではと認識していたが、全ては子孫繁栄に繋がっているのかと思うと、自然界の逞しい生命力が驚異だ。特に第3章「歌う鳥の私生活」は面白い。オスのなわばりは出会いの場ではあるが、最終的にはメスに密林に連れ込まれ、当初のなわばりを捨てさせられるほど尻に敷かれる...。なわばりが絡むオスの歌や、本妻用と浮気用の歌もある。浮気はメスもオスも...だ。歌のレパートリーや地域による違い、よそ者が地域の歌に馴染む等とても興味深い。野生の小さな鳥達の寿命は思いのほか短いのは意外だった。2020/10/30
seraphim
14
なぜ鳥は歌うのか?。バードウォッチングに興味を持ってから、気になっている命題である。歌っている鳥の気持ちが、少しでもわかると良いと思い、手に取った。てっきり鳥達は一夫一妻で過ごすのかと思いきや、好きあらば浮気を狙っていたりすることを知り、笑ってしまった。皆、自分の遺伝子を残すために、必死に戦略を練っているのだなぁと、思い知った。この本は、書籍内で紹介された鳥の声をWeb上で聴けるようになっている。読みながら、実際に自分の耳で、どんな声なのかを聴けるのも楽しかった。2018/01/20
ポテンヒット
10
カラフルな鳥の表紙からエッセイみたいな感じかなと思えば、意外にも専門的な内容だった。夜中の2時半ぐらいから鳴きはじめる鳥もいるとは!既婚と独身で歌い方が違ったり、独身のふりをしてメスにアピールしたり…人間社会と比べると(こんな感じの人もいるけど)驚くことばかりだが、食事の時も抱卵の時も常に危険と隣り合わせの生活で、よく生きて数年の命なので、人間とは時の感覚が違うんだろうなと思った。この本は、鳥の鳴き声をとことん研究し続ける著者の地道な研究結果の賜物だ。 2022/01/03
つくし
8
出版社HPで音声を聞きながら読み進められるのがとても良かったです。前半は専門的でほとんど頭に入っていないのだけど、後半の浮気モードとか愛妻モードとかの話がわかりやすいし面白いし。最後には聞きなしの話もあり、読み続けて報われたかな、と。2018/06/21
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