内容説明
東西両軍の兵力じつに十数万、日本国内における古今最大の戦闘となったこの天下分け目の決戦の起因から終結までを克明に描きながら、己れとその一族の生き方を求めて苦闘した著名な戦国諸雄の人間像を浮彫りにする壮大な歴史絵巻。秀吉の死によって傾きはじめた豊臣政権を簒奪するために家康はいかなる謀略をめぐらし、豊家安泰を守ろうとする石田三成はいかに戦ったのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
546
上巻の主人公は石田三成。そして、陰の主役はもちろん徳川家康だ。もっとも、この巻の終わり辺りからは、ずいずいと前面にまかり出てくるのだが。秀吉没後の権謀術策渦巻く武将たちの世の中で家康腹心の家臣の一人、本多正信などは「世の中は実に面白い」と言うのだが、私などはむしろいっそ投げ出したくなってしまう。数ある登場人物たちの中で自分がなりたい(もしくは、ならなければならない)一人を選ぶとすれば、私なら織田有楽斎がいい。家康の器量もないし、はたまた三成ほどの忠誠心や志もない。かといって加藤清正のようなのも嫌だし…。2017/04/08
mura_ユル活動
187
久しぶりの司馬氏、44冊目。関ヶ原はどう描いているのだろうと。秀吉の病状、三成の人、家康、とその周りの環境・状況で始まる序章。秀吉の遺言を守らない家康。人徳・功名・過去の恩、将来性、評判、人望、色々なものが交わる。藤堂高虎って主家をこんなにも変えたんだとわかる。「人は利害で動く、正義では動かない」。石田三成が奉行を退官して佐和山城へ。故秀吉の遺言の家康は伏見城へを策略により、秀頼のいる大阪城へ。加賀討伐諸事があって上巻終了。「余談だが」は数えただけでも6箇所あった。次巻へ続く。2019/07/28
yoshida
174
8月の映画公開に向けて再読。上巻では前田家が家康に屈するまでを描く。豊臣秀吉の側近であり五奉行筆頭の石田三成を主人公に、秀吉の死後に天下を乗っ取ろうとする徳川家康との戦いを描く。惜しむらくは三成の横柄さ。また、豊家は秀吉一代で政権を築いたため有力な一門衆がおらず、譜代も尾張閥と近江閥に分裂し、家康に付け入る隙を与えてしまった。三成の潔癖さと気概。島左近の格好良さ。家康と本多正信の希代の謀略。豊臣の明るさと、徳川の暗さ。三成の義と、家康の利。鮮やかなコントラストを描きながら、関ヶ原の大乱に向け時代は動く。2017/07/17
ゲンキ
158
司馬遼太郎さんは、おそらく家康のことが嫌いで、本書でも「稀代の悪者」として書かれています💢💢💨。昔「城塞」を読んだ時に、大坂冬の陣の和睦の条件が城の外堀を埋めることだったのに、勢いで内堀まで埋めてしまったりして、私も嫌な人だなぁと思ってましたが、本書を読んで更に嫌になりました。天下取りの為だからといって、豊臣秀吉の元家臣等に、根も葉もない噂を流し、謀叛人に仕立ててしまう等は許せませんでした😡中巻になったら、さらに家康の悪知恵が増えそうなので、一旦違う本を読んで休憩します😅2020/01/07
yoshida
158
初めて読んだ司馬遼太郎。 石田三成は豊臣政権を守る為、軍師の島左近と共に、格の違う徳川へ挑む。義と利。理想と実利。