内容説明
絢爛たる栄華を誇った豊臣秀吉の天下がかたむきはじめた。かれに老耄の翳がさし、跡継ぎの秀頼はなお幼年の域を出ない。諸大名を掌握し、じりじりと擡頭してくる徳川家康に対して、秀吉は防戦にまわった。かれが死をむかえれば大波瀾はまぬがれぬであろう……。伊右衛門・千代の夫婦は二人して将来への道を必死に探し求める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
259
後に日本の歴史を塗り替えた幕末維新の坂本龍馬らに連なる山内一豊のサクセスストーリー第3巻。益々聡明で美しき妻千代の活躍光る巻でした!秀吉が没し、三成挙兵の噂が!各大名達の去就は?誰もが形勢を読みきれず、東西どちらに味方すべきか、家康か秀頼擁す三成か?まさに史上最大の戦直前の様相がリアル!そこでの千代の手紙のくだり最高‼️もうね、並みいる大名越えてます❗それにしても、秀吉晩年の仮想パーティー、醍醐の花見見てみたい!司馬御大が操る『文字を尽くしたオーケストラ、いや、オペラ』を堪能。さぁ最終巻の関ヶ原だ‼️🙇2019/01/25
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
124
草履取りの身から天下人となった秀吉が没した。世は再び乱世へと流れていく。大名とは言えわずか6万石の身では時代のキャスティングボードを握ることができるはずもなく、一豊は濁流の中に身を任せる落ち葉のようだ。次はいよいよ天下分け目の戦い。凡庸といわれ、実直だけが取り柄と言われ続けた一豊がいかにして土佐一国を手にすることになるのか。2017/12/09
つーこ
109
司馬遼太郎には珍しく女性が主役のこの話。豊臣政権の只中、徐々に狂気を帯びる秀吉と不穏な空気を呈する大阪の街にあって、こういう混乱時に強さと先を見据える聡明さは女性ならでは。千代もおねねの方もとてもかっこいい。『関ケ原』や『城塞』を愛読している私としては、淀陣営にはイライラさせられっぱなしだったので、大蔵卿をやり込めた千代には胸のすく思いだった。そして、いよいよ小山会議!2019/10/09
さつき
91
秀吉の晩年の醜態はやはり悲しいし、人柄が変わったように策謀に乗り出す家康のあからさまな振る舞いにも引いてしまう。そんな殺伐とした情勢の中、自由気ままな忍びの六平太の出番が増え、一服の清涼剤になっています。司馬作品にはよく登場するタイプですね。この巻は小山評定前まで。続きが気になります。2021/09/25
優希
88
天下の傾きがあからさまに見え始めます。家康は諸大名を自分側につけ、ジリジリと勢力をつけていくのに時代の一区切りが間近のように感じられました。そんな中での秀吉の死。一豊と千代のこの先の運命も模索していくことになります。何もかもが必死に降りかかるようでした。2018/12/17