内容説明
和歌の世界で交錯しあう複雑な人間模様――。
「梅は咲いたか、桜はまだかいな……」
春風に漂う白檀の香りを味わうように目を閉じ、真晴は笑った。
どこか血の臭いが似合うような、凄惨な笑みだった。
「待ちに待った季節。せいぜい艶やかに咲いて、気が向いたら散ってやるさ」
桜は咲いて散るものだと信じていた。
ひと思いに散ることもできずに枯れ死ぬことがあるとは、思っていなかった。
とある仏像を狙う孤高の天才歌人・帳ノ宮真晴と、彼女を狙う若き歌詠み――椿市と振根。そこへ祝園完道を加えた各人の思惑が「鎮花祭」で交錯する。三十一文字を巡る物語・第三章、桜は咲いて散るものだと信じていた………。
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あなほりふくろう
23
うわ小野小町の有名な歌きたとか思いながらこれでピンチに陥る真晴さん。ここでへこまされて次巻で大暴れ、ってのを期待しちゃったのだけど(苦笑)、完道さんがあっさり解決してしまってちょっと燃焼不良。すいません贅沢言いました、今回も面白かったです。タイミングとしては次巻以降への種蒔きといったところでしょうか。「君が代に逢ふべき春の~」(古今713、土御門右大臣)なんとまあお目出度い歌だけど、ラスト、完道と真晴のラブシーンを飾るにこれ以上ない相応しい素敵な演出でした。この距離感、空気感がいいですね、好きです。2014/04/11
シュエパイ
8
梅は咲いたか桜はまだかいな、と。咲き誇ることはおろか、潔く散ることすら赦さない、苛烈な禍歌と生き方と、それから男の子と女の子の物語でした。あぁ、なんて綺麗で心地よい梅の香だったのでしょう。このシリーズを読んでいて、初めて感じる清々しさなのです。代償に失ったものは戻ってこないし、きっと誰も何も得られてはいないのに、それでもとっても幸せな気持ちなのです2014/04/15
ごぅ。
7
梅と桜。。桜は咲いて散るものだが、散ることもできずに枯れ死ぬとは、、、復讐と固執、熱病と恋煩い。。一途な想いはそれぞれの交差を辿っていく。。2018/07/07
サケ太
5
真晴に恨みを抱く少女椿市、彼女と行動を共にする振根。六歌澪の生き残りが暗躍する中、真晴を狙う刺客たち。真晴の危機。完道の選択。非常に綺麗な物語。登場人物の会話が楽しい。歌にこめられた思いが美しい。やはり面白かった。2015/01/18
サキイカスルメ
5
真晴メイン回にしてピンチ回でした。野良歌詠みの男の子と女の子が真晴に挑もうとしていたところから始まった3巻。振根と椿市が好きです。真っ直ぐで爽やかな感じが主人公とヒロインっぽかったような。完道は達観してるし、真晴は独特な生き方してますからね。いや、好きなんですよ、この2人も。ちょっとでしたが、たぬきつね藍佳がやはり可愛かったです。最後の完道と真晴の正反対だけれど、お互いを想い合っている言葉の交し合いがよかったです。桜や梅など花たくさんの綺麗なお話でした。続きも楽しみ2014/05/09
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