内容説明
ついに開催されるブラジルワールドカップ。1998年フランス大会以来、5大会連続出場となる日本代表は、本田圭佑、香川真司など「史上最強」のメンバーで挑むことになる。日本代表は過去の苦い経験を教訓として、今度こそ「すべての力を出し切る」ことができるのかーー。本書は、20年近く世界中をサッカー取材で飛び回り、スタジアムの内外で様々な経験を積み重ねてきたサッカーライターが、その過程で出会った具体的な場面を材料に、日本サッカーの宿痾ともいえる「シュート撃たない病」の原因を探った一冊。なぜシュートを撃たないのか? 日本サッカー最大の謎に、世界中のサッカーを最前線で取材してきた著者が、全力で挑みます!
目次
第1章 日本サッカーはなぜシュートを撃たないのか?(コンビニ社会はサッカーを弱くする ボール支配率75%なのに負ける理由 ほか)
第2章 日本のスタジアムで考えたこと(母体は喫茶店のチーム。松本山雅の挑戦 高校サッカー選手権「奇跡」の正体 ほか)
第3章 世界のスタジアムで考えたこと(ブラジル人少年の心を捉えた日本人選手の話 パスの上手い男たち ほか)
第4章 サッカーの本質を知っている男たち(キングカズの「最高傑作」 中村俊輔はスタジアムを支配する ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シブ吉
82
W杯ブラジル大会を目前に、興味深いタイトルの本を目撃し思わず手に。ゴール前でシュートを撃たずにパスを出す光景を思い出し、ページをめくる。それぞれの試合を例に、その流れに沿って話が進むので判りやすく面白い。『パスの上手い男たち』の話。外国人が日本のサッカーを評すときの言葉、「日本人はパスがとても上手い」と同時に「日本人はシュートがあまり上手くない」その言葉に続き、ジーコの口癖。「ゴールの空いているところにパスを通す。それがシュートというものだ。」その後に続く絶妙な話の展開は、まるで華麗なパス回しの様でした。2014/05/22
ひで爺ィ@伊豆甘夏納豆売り/MMM団/スパイの弟
46
読友さんよりお借りした本です。なるほど!そうなのか!というようなことが書いてあります。私なりに思ったのですが、今回のW杯で日本代表選手が言っていた『自分たちのサッカーが出来なかった』。させてもらえませんよ、W杯ですから・・・。別に避難しているわけではありません。次回は期待しております(^。^)b2014/07/11
したっぱ店員
36
もう便乗本が多いんだからー・・とぱらぱら見てたら読みたくなって結局購入。やられた(>_<)。雑誌ナンバーに載った記事を集めたもので、タイトルのような問題提起は少しだけだったけど、ジーコ、ジダン等の選手たちについて書かれた分がよかった。遠藤って独特だなあ。本田より興味ある。2014/06/03
s-kozy
34
2010年のW杯で「シュートの意識が乏しいままの退屈な試合」で敗退した日本代表。「日本は過去、W杯に4大会に出場権したが、第三者が十年後、二十年後に「(略)素晴らしかった」と語り継ぐような試合を一度も演じたことがない」という記述が出てくる。それが今回「5大会」に塗り替えられてしまった。進化した四年間のはずが、日本の今回の三試合をデータ分析した今朝の新聞記事の見出しは「つなげど入らず」。シュートの意識が乏しいのはなんら変わっていなかった。撃たない理由は本書を読んでいただくとして、目先の結果だけではなく、2014/06/26
saga
28
本書に通底しているのは「サッカーとは相手のいるスポーツ」というコロンブスの卵的な論理だ。しかし、当たり前であろうこのことを理解できず、フォーメーションやボール支配率などを目的にしてしまう。そうなるとシュートを打たずにボール回しをしてもボール支配率は上がるが、勝つことはできなくなる。便利過ぎる日本社会は、相手のことを考えなくても、つまり相手と駆引きなどしなくても生活ができてしまう。それが「自分たちのサッカーをする」などと独り善がりなプレースタイルにつながるというのも納得だ。第4章は人物伝だが読み応えあり!2014/10/25