内容説明
地震に遭った翌日、少年は、海の匂いのする、見たこともない町に立っていた。通りかかったオバサンの家で親の迎えを待つ間に体験したのは、少年がこれまでしてみたかったことばかりで……。(「翔る少年」) 「どんな人生にも必ず分岐点となる瞬間が存在するように思う。運命的な避けることのできない『あの日』もあれば、ほんの僅かなタイミングの違いでその後が揺らぐ『あのとき』もあるだろう。そのポイントにかえることができたら。いくことがかなうなら――。 もしも拙作を手にとって読んでくださる方がいるとするならば、ほんの少しでもいい、その方の『あの日』『あのとき』に対する思いに寄り添えたらと願う」――乾ルカ。時空を超えた小さな奇跡と一滴の希望を描く感涙の傑作小説集。第143回直木賞候補作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょこまーぶる
112
何故かサクサクと読み進めなかった一冊でした。「真夜中の動物園」と「あの日にかえりたい」の二編は、印象に残っているんですが、あとの四編は読後ももや~っした感じで、印象には残らなかったですね。集中して読めなかった事に原因があるかもしれません。生きていく上で、誰もが何度かは「あの日にかえりたい」という感情を抱く時があると思うんですが、必ずしも楽しい時に戻りたいというだけではなく「あの失敗を今だったらこうしたい」とか「あの時は済まない事をしたなぁ」という事も多いと思うけど、そう思うことで心を浄化しているだろうな。2017/06/06
相田うえお
94
★★★☆☆22019【あの日にかえりたい (乾 ルカさん)】小説を読んでいて常々思うのは、数行読んだだけでスッと入り込める作品を作る作家さんと、なかなか作品世界にワープさせてもらえない作家さんに分かれるよなぁ〜と。(まえにも同じこと言ってますが←年寄りか!)間違いなく乾ルカさんは前者(相性もあるのかな?) 本作品、奇妙系ながらも心揺さぶる内容の短編集です。六本中、特に作品タイトルになっている『あの日に帰りたい』の後半は僅かばかり目頭がやられそうになりました。六話目も心に響きました。というより全部よかった!2022/02/24
takaC
92
初めて読んだ乾ルカの本がこれだったことを思い出した。単行本の方だけど。2018/07/11
ゆみねこ
74
6編の短編集。どのお話も物悲しくて切ないけれども、読後感は悪くなかったです。 「夜、あるく」が特に好きでした。「真夜中の動物園」も良かったです。2015/01/26
dr2006
73
リアルな日常に潜む断片的な非日常。自分が北海道出身で土地勘と季節感があるせいか(6編は全て舞台が北海道)記憶の中の五感が蘇る感じがした。だから、乾さんが描く非日常をスムーズに受け入れられたのだろうと思う。決して「プラス」ではない今を起点に、人生の転機となった「あの日」にフラッシュバックする主人公たちに胸を締め付けられた。でも読み終えた瞬間、乾さんが贈ってくれていた暖かい余韻に気が付いて嬉しい。あちらの世界を描写して鳥肌立たせるくせに、ズルいよね?(笑) 乾さんの作品はもっと読んでいきたいと思う。良かった。2018/11/07
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