内容説明
福島原発事故をテーマにした、朝日新聞連載の書籍化第6弾。事故からまる3年が経過したが、被災地の復興はほど遠い。故郷を追われた人々の多くは、帰還をあきらめはじめている。被災者の苦悩と真実の叫びを追い続ける渾身のルポルタージュ。
目次
釣ったら放せ
踊り残そう
原発城下町
イノシシ膨張
ローン減らせ
追いかける男
特別座談会 ふるさと福島では、事故はずっと続いている
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
278
しばらくぶりの『プロメテウス』。本書は震災後、約2年が経過した辺り。この巻で一番ショッキングだったのは、第36章「追いかける男」。それは東電の元社員で、福島第一原発で炉心の設計・管理に携わっていた木村俊雄の告発だ。彼によれば、福島原発1号機は、津波のせいではなく、既にその前の地震で原子炉は損傷していたのではないかというもの。しかも東電は必要なデータを全く秘し隠したまま、なかなか公開しようとしない。国会の調査委員会に対してさえ、そんなデータはない、現場検証は危険すぎてできないと嘘を語り続けてきたのである。2016/02/29
美登利
43
このシリーズもついに新聞では700回の連載をこえ、本としては6巻までにもなりました。知らなかったこと、隠されていること、原発に近い場所に住む人々が一番初めに知らなくてはならないのに、遅くに知らされたこと。あれから三年、何も変わっていないではないか!最後の対談に全てが要約されていると思います。「福島を忘れない」とは何ですか?もう過去のことですか?事故の影響は始まったばかりなのですよ、被災者の菅野さんの言葉が頭の中を駆け巡ります。1つでも知る為に読んで欲しいです。国は、国民は何をすれば良いのでしょう…2014/03/28
壱萬弐仟縁
24
カヴァー表紙見返しでは、 アベノミクスの恩恵を 受ける者たちの陰で、 福島の人びとの孤独感 を黙認できない。 冒頭のカラー写真は❼の 高齢者がどん兵衛を啜る のが気の毒に思える。 魚のベクレル値が、 2012年4月で500 →100㏃へと基準が厳しくなり、 キャッチ・アンド・リリース(19頁)。 釣り人も楽しめないな。 釣り文化以外にも、 和太鼓田植踊も民俗芸能(67頁) に影響している。 避難してはなかなか演じる機会もない。 200もの民俗芸能が消滅危機(71頁)。 文化を破壊する原発。 2014/05/09
燃えつきた棒
21
大熊町で農業をしながら歌を詠んでいた佐藤祐禎は、避難生活中に倒れ、2013年3月に83歳で亡くなった。 2004年に出版された歌集「青白き光」(短歌新聞社)から引用する。 『いつ爆(は)ぜむ青白き光を深く秘め原子炉六基の白亜列なる』 事故後、佐藤はこんな歌も詠んでいる。 『ゴモラでもソドムでもなき大熊に殺戮の光線そそぎて止まず』2016/07/11
D21 レム
21
イノシシ膨張では、イノブタが現われているなどの実態を。借金をかかえた被災者を救済する司法書士の活動には頭が下がる思い。原子炉崩壊の原因を追う元技術者。2016/03/09