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内容説明
1971年、日本で革命を目指す赤色軍と革命者連盟は急接近し、『赤色連盟』を結成。銃を手にした彼らは、榛名ベースへ続々集結する。しかし、そこで展開されたのは革命への行動ではなく、『総括』と称した、立派な革命戦士になるための、各自の過去の言動に対する自己批判、相互批判の応酬だった。総括要求はエスカレートし暴力になり、大晦日にはついに伊吹が力尽きて死に至る。彼らは一体どこに向かおうとしているのか!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
20
山本直樹の『レッド』は、永田洋子や坂口弘、植垣康博らメンバーの手記をもとに描かれている。これらの手記は当然、事件を生き残った者達の視点で綴られている。つまり手記には、殺されていった者の本音は存在しないということだ。『レッド』は、登場人物の胸中を表現するモノローグがほとんどない。胸中は、生き残った者達の手記の中にしかないからだ。生き残った者も殺された者も平等に扱うために、山本はあえてモノローグを排する。読者は、彼ら彼女らの表情から、その胸中を想像することを強いられる。それこそが、山本の狙いだろう。2014/02/26
かっぱ
19
山小屋という閉塞した空間の中でついに暴力が彼らを支配するようになる。読んでいてつらいが、彼らの運命は最後まで見届けたいと思う。何のための「総括」なのか。「がんばれ、がんばれ」という言葉の意味は。自分が生まれたこの年に命を落とした若者は生きていたとしたらもう60半ば過ぎになっているはず。救いがあるとすれば、信じるものに向かって若い命を燃やし尽くしたということだろうか。それでもやっぱり虚しい。2014/06/07
アズル
11
1971年12月31日の出来事を以て、『レッド』第一部完。72年の年明け早々、2名死亡します。北の「気絶しないやつは、総括が出来ていないからだ」発言に、背中がゾクリとしました。北の狂いっぷり全開です。2017/06/10
かふ
9
<完>とあるけどそれは新たなる展開の始まりに過ぎないのか?「リンチ」という言葉を連合赤軍事件のニュースで知ったのだが彼からすればそれは革命戦士になるための「援助殴打」に他ならない。それだから周りの仲間から「頑張れ、頑張れ」の声援が飛ぶ異常さ。彼等の死はリンチ殺人ではなく「敗北死」だという認識。痴漢行為から制裁はわかるとして、痴漢された側もすきがあったと制裁される。男に殴られると快楽になるから女同士で殴る展開に。パンタロンを買ったからとかプチブル思想だからと「援助殴打」は出てくる。2018/01/28
さえきかずひこ
9
いよいよ始まった総括という名の私刑の数々。まったく愚かな指導者北に率いられた、集団意識を巧みにもちいた暴力の連鎖は現代に通じる要素も多分にあり、決して過去のできごとを描いている訳ではないように思えた。2014/02/25