内容説明
十年前の大火で両親を亡くしたアルベルティ家の令嬢・マリアンジェラ。実は母と聖王の不義により生まれた存在で、父から疎まれていたことが心の傷となり、異父兄・アルフォンソに命じられるまま、名目上の結婚を繰り返している。だが、四人目の夫・レオナルドは今までの相手とまったく違っていた。人形のような自分から表情を引き出そうとする彼に心を開いていくマリアンジェラは…?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
幸音
10
母親とトップの聖職者との不義の子として育った、美貌の侯爵令嬢マリアンジェラと、彼女の名目上の結婚相手となった商家の当主レオナルド。数ページに一度の頻度ではないかと思うほど、マリアンジェラが自身の生い立ちと親について続くから辟易した。あと「鼻白む」という表現が目につくくらい繰り返されて、むしろこちらが鼻白む。お互い非礼から始まり、皮肉を言い合う仮初めの夫婦だけど、マリアンジェラの肖像画の前後と、「好みじゃない」の言葉の裏側が分かったり、「その表情はいい」と度々からかうレオナルドが良かった。恋愛要素ほぼない。2015/06/06
フキノトウ
10
快活なレオナルドと、徐々に表情が豊かになっていく、マリアンジェラのカップルが可愛らしかったです。2014/01/30
まりい
9
自分の存在に対する罪の意識に苦しみ、人形のように感情を隠して生きていたマリアンジェラ。そんな彼女がレオナルドと出会うことで心を開いていき、生き生きとしていく様子が丁寧に描かれていてよかったです。ルネサンス期の文化についても触れられていて読み応えばっちり。2014/02/05
ゆり
7
途中まで馴染みのないカタカナ語で話をつかむまでに苦労しましたが(笑)、いつもの小田菜摘さんらしい少女小説で安心して読めました。たしかに前向きで頑張り屋の少女……というわけではないけれども、マリアンジェラは好もしいヒロインでした。辛い境遇でもねじ曲がってしまうことなく凛としたものを秘めていて。いつもの通りに恋をして人として成長し魅力的になっていく姿がよかった。お相手のレオナルドもなんというかほっとできるひとで、いいなあ。ルネサンス時代のイメージということで絵画や音楽や描写が力入っていて興味深く読めました。2013/11/04
りず
7
嫁恋と同じ世界観。小田さんの書くヒロインっていい子が多いと思うけど、このヒロインはちょっとひねくれてる。ヒーローがなんかかわいかった。ヒロイン兄は理解不能。小田さんの話にしては政治色が強くない気がした。かといって恋愛色が強いわけでもない。でも好き。何がおもしろかったのかと聞かれると難しいんだけど、とにかくおもしろかった。2013/11/01