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内容説明
「わたくしたちは,懸命に努力し耐え抜くように生まれついているのです.」結びあう魂,燃える思い,未来への希望の前に立ちはだかった苛酷な事実.孤独な娘に戻ることを選んだジェインは,一人荒野に踏み出すが――愛と自由を求めて運命を切り開く女性の物語は発表当時大きな反響を呼び,今なお鮮烈な感動を与える.新訳.(全二冊完結)
目次
目 次
第21章
第22章
第23章
第24章
第25章
第26章
第27章
第28章
第29章
第30章
第31章
第32章
第33章
第34章
第35章
第36章
第37章
第38章
解 説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
434
この物語が語りだされるのは最終章のさらに後、さあジェインが初老を迎える頃であっただろうか。その時、彼女は静かに読者に自身の過去を回想してゆくのである。それはなかなかに波乱に富んだ人生であったのだけれど、語りはいたって穏やかで充足したものである。物語のあちこちに、シャーロットの体験が踏まえられているのだろうが、それらはこのように語り直されることによって物語世界の中で新たな意味を帯びてくる。ジェインは強いキリスト教の倫理観を持っているが、それはけっしてセント・ジョンのように観念的、意志的なものではなかった。⇒2022/02/19
こーた
242
激動。いや上巻もじゅうぶん波瀾に充ちていたが、下巻に入ってジェインの運命は急転、激しさを増す。求婚された直後に運命のひとの秘密は暴かれ、脱出して身をやつした後、救いの手を差し伸べられ、さらには財産も転がりこんで安息の日々を過ごす。そして帰還。神話のようなプロセスを経て既存の習慣を打破し、女性の自立という新たな神話を打ち立てようとする。ジェインは財産を得たから自立できたし、自立できたからこそ自信をもって生きられるようになった。ロチェスターは逆に、身体に傷を負いハンデを背負う。それでようやくふたりは対等に⇒2021/06/02
mariya926
117
興味深い内容だったので、一気読みでした。ジェラシー攻撃からの、問題が発生し逃げて、最後はハッピーエンドでした。虐待を受けた割には、尊敬できる教師や友人と出会い、また落ち着いた環境にいる事によって本来の姿を取り戻した主人公。ハッキリと主張するのはこの時代なかなか出来なかった事だと思います。この作家さんは姉妹が「嵐が丘」を書いているとの事で、いつか読んでみたいと思いました。演劇を観ているかと感じる程、細かい描写でした。一つ疑問に感じた事は、なぜ早く叔父に会いに行かなかったのか?でした。2022/11/21
ちゃちゃ
107
真実の愛と神の導きは、ジェインを人間としてより強くしなやかに成長させた。信仰に生きる牧師セント・ジョンは愛なき結婚を迫り、皮肉にもそれが彼女にロチェスターの存在の大きさを気づかせた。かつてロチェスターの求婚を拒んで出奔し、再び彼と出会ったとき、不幸にも彼の目は光を失い片方の腕は失われていた。けれど身分の差を超え、対等な立場で魂が深く結ばれる信頼関係こそが、彼女にとって至高の愛の形だったのだ。キリスト教の倫理観(道徳律)に従い、自らの内なる声を信じて自由と自立の道を歩んだジェイン。心震える至福の読書だった。2023/02/26
buchipanda3
100
下巻は展開の勢いに乗って先へ先へ。目の前に起こる困難な出来事に真っ直ぐに向き合うジェイン。彼女は自らの信念を持って進む道を選んでいく。その先に待ち構えるものは何か。気持ちが同化するようにハラハラしながら読み進めた。セント・ジョンが彼女の真摯で頑なな一面を突いて選択を迫る場面は思わず悶える。その時に訪れた言霊のような幻は心の奥に残していた素直な想いが導いたのかも。自らの意思で居場所を見つけた時の至福が読み手に伝わってくる。そして遺産よりも身内が居たことを何よりも喜ぶ姿こそ彼女そのものを表していたと思った。2024/05/24