内容説明
現れた“敵”P・エルロイと広江乗の対立がイーヘヴンのシステムを攪乱する──
層現都市イーヘヴンから英雄(ヒーロー)の役割を与えられた乗は、DT(ダークツーリスト)の小隊の仲間とともに、白銀の強化外骨格を身に纏うピーターを死闘の末に退けた。やがて乗はかつて都市が自分を追放した理由を探るなかで、3年前の爆発事故に深く関わる少女、識常末那(しきじょうまな)に辿りつく。しかし過去の手がかりを掴もうとしたとき、再びピーターが都市を急襲。彼に手を貸す傭兵・周藤速人(すどうはやと)の兇刃が、ついにひとつのいのちを喪失させる――3部作第2弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
39
徐々に乗、末那、ジャレッドなどの過去や放置した罪、無知故の罪が明らかになる巻。そして自分の意志は本当に自由意志かと問われる。周藤によってco-Halに介入し、書き換えられる能力を施され、徐々に嵐のような感情を発現していく末那は確かに『マルドゥク・スクランブル』のバロットのよう。ジャレッドが末那の行動を大切な人を失った人々によって監視されていたという状況を作り出していたということに激しい怒りを感じます。どう考えても結局は後腐れのない人々に傷の舐め合いをさせるように利用しだけじゃないかと思い、不快でなりません2014/08/10
ソラ
24
Ⅰは何となく流れるままに読んできたが、Ⅱになって何となく物語の骨格がやっとわかってきだして面白くなってきた。2013/08/03
ドル箱
12
Ⅱ巻感想。正直、エピソード、真相に近づく巻でありました。初刊の感想で書いた根底に、ドストエフスキーの名言「人は自分が幸福であることを知らないから不幸なのである」に似た概念が存在すると私は思う(深読みかな~?)それは「万華鏡」で映し出されるビジョンでもあるが、それ+虚数理論も引用されております。都市についてもミエヴィルのバックボーンが存在し、その在り処を示しておりますが、聖書の記述もちらほら、著者が書きたい真実とは!ラストダンスも近づきつつあり、皆様がどんなワルツで最終巻を踊ってくれるのでしょう。そこで総評2014/08/06
磁石
12
やっと、過去に何が起きたのか、人々の罪とは何のかがおぼろげながらも見えてきた。全ての正しさは、個人では扱いきれないビックデータを扱えるAI「co‐HAL」に握られているために起こった悲劇。だけど、都市とその未来を彼女に、人々は自ら明け渡した。「正しさ」についての突き詰めた所見は、自分のことにも関わってくるためにワクワクするが、物語自体は、近未来であるはずなのにイーヘブン市で閉じられているのが残念。もっと混沌として、広がりがあったら面白いのに。2013/11/16
F
12
Ⅰで伏せられていた謎、それぞれの役割がだんだんと明らかに。続刊に更に期待。2013/07/02