内容説明
京都西町奉行所同心の手先の蝶次は、高瀬川の辺で美女と遭う。「女の訪れた家には死人が出る」閻魔の使い女こと謎の質屋『むじな屋』の主お理久だった。大店の娘から、亡き母が秘密を預けていた代償として広大な庭を取り上げられる、という阿漕な話を聞いた蝶次は、義憤から化野のむじな屋を訪れるが…。誰しもが抱く悔恨。それでも前を向く勇気と覚悟を描く時代小説。
著者等紹介
三好昌子[ミヨシアキコ]
1958年、岡山県生まれ。嵯峨美術短期大学卒。2016年、第十五回「このミステリーがすごい!」大賞・優秀賞を受賞し、翌年『京の縁結び 縁見屋の娘』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
56
美しくて幻想的で力強い物語。作者は油絵専攻らしいのに京都の情景が日本画的な雰囲気があるのは京都という土地柄故だろうか。辛い記憶に苦しめられながら生きることとその記憶をむじな屋に預けてしまうことを選べるとしたら人はどちらを選ぶのだろう。不思議で美しいファンタジーなのに自分とは何者かという根源的な問いかけ等々あれこれ考え込んでしまう作品だった。2020/06/15
はつばあば
47
この作家さん面白いです。ホラーの発祥地とも言われる岡山生まれ、学校は化野念仏寺の傍にある嵯峨美大。人には言えない悩みや秘密を持つ辛さ。その秘密を壺に入れて預かるのを商売とする質屋「夢尽無屋」。むじな屋の店主お理久と怪しげな公家風の若者と婆様。閻魔様の遣い女?を探る岡っ引きの蝶次。その蝶次の生い立ち・生まれ・・どこの誰でも無いと明かされては・・。夏のホラーには遅かったですが、上田秋成の雨月物語並みに秋に読まれてもいいのでは(^_^;)。三好昌子さん、後3冊積んでます(^^♪2022/09/02
onasu
11
余人には漏らせないが、己で抱えていては気を病んでしまう。そんな秘事を預かってくれるという謎の質屋が京の外れにあった。 町奉行所の同心の手先をしていた蝶次は、恩のある植木屋から顧客が庭を質草に取られるという案件の調査を頼まれて、その質屋「むじな屋」に向かうと…。 解説の大矢さんはこの系譜の作品を例示されているが、時代小説、それも三好さんが著されているというのが的のど真ん中。ただ好みとしては、連作をもう少し楽しんだ後に、蝶次に関することは次編送りの方がよかったか(やや関係者が集まり過ぎ)。2021/11/26
デジ姫
10
右蔵の蔵神、婆様可愛い。読み進みながらこれはシリーズ物になるに違いないと確信持って読み始めた。終わりの3ページに黒文字屋の母娘に夢尽無屋の記憶がないという。ショック!夢尽無屋がまた現れることを切に願う。2020/07/27
gadagiji
5
京を舞台にした不思議が入った時代小説。主人公の生まれが二転三転して最後まで飽きずに堪能♪私の中では、西(京や大阪)の三好昌子、東(江戸)の宮部みゆきという構図。2025/01/30
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