内容説明
デビューからわずか四年で、芥川賞に六回ノミネートされ、六回落選した現・芥川賞選考委員島田雅彦の華麗なる落選の軌跡にして初期傑作集。大学在学中に発表された鮮烈なデビュー作「優しいサヨクのための嬉遊曲」のほか、「亡命旅行者は叫び呟く」「夢遊王国のための音楽」を収録。作家生活三十周年記念企画。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
58
いい意味で常識を壊していると思います。若い文章、ユーモアのセンスに引き込まれますね。少し変わっていて、突き抜けることがなくて、そこが魅力なのかもしれません。芥川賞受賞ならずも納得でしたが、名作です。2023/01/23
優希
55
芥川賞に落選した中編3編がおさめられています。文章が若く、ユーモアを感じました。ただ、どの作品もいい意味で常識を壊しているような気がします。下巻も読みます。2020/06/24
佐島楓
48
「芥川賞を取らなかった名作たち」の流れで「優しいサヨクのための喜遊曲」のみ再読。パロディと言われれば、政治活動も恋愛も同じ重みで扱っているように見え、そのあたりが新世代の感性であり、旧世代へのパロディなのかなと思った。2017/12/08
佐久間なす
26
芥川賞に6回ノミネートされたが、全て落選した島田雅彦の初期傑作集。上巻には「優しいサヨクのための嬉遊曲」「亡命旅行者は叫び呟く」「夢遊王国のための音楽」の3作収録。 特に印象的だったのは、「夢遊王国のための音楽」。 掴みどころがない主人公千々石雅が持つ、病的な部分や狂気的な部分に、ヒロインである舞鶴歌のようにすっかり心を奪われてしまいました。 人はみなどこか狂っている。でもそれをうまく隠してこの世界を生きている。そのようなことを雅の生き方から思いました。2014/11/13
ophiuchi
4
芥川賞落選作だけで文庫本2冊!読んでみると候補になったことも受賞しなかったことも納得できるような。2013/11/14