内容説明
名代の茶道具屋の愛娘だったゆずは店の奉公人だった真之介と出奔、幕末の京都で道具屋「とびきり屋」を営んでいる。2人にわかるのは道具のことだけ。でもその「見立て」力で、龍馬や桂小五郎らと渡り合い、動乱の京を生き抜いていく。若い夫婦の成長を軸に、京商人の心意気を描いた大人気シリーズ第2弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
113
とびきり屋見立て帖・シリーズ第二弾。駆け落ち夫婦の若い二人。今巻もほんのり心温まる姿を存分に見せてくれる。まだまだ完全ではないが道具屋として一生懸命商売日励む夫・真之介を妻・ゆずが全面的に信頼する姿がなんとも微笑ましい。幕末を舞台とする夫婦ものだが、ここに描かれる夫婦像は夫唱婦随ではない。妻・ゆずは夫・真之介が奉公していた大店のお嬢さんであり、もともと活発で自立した娘だ。道具に対する目利きは真之介より上である。そのゆずが夫を立て、助けようとする。つまりは惚れているのだが、なんともかわいい。 2016/05/31
とし
104
とびきり屋見立て帖「ええもんひとつ」2巻。騒然とする京都・幕末に道具屋「とびきり屋」を営んでいる真之介とゆず夫婦。古高 俊太郎が桝屋喜右衛門で、桂小五郎・幾松まで登場、芹沢鴨を手玉に取ったり取られたりの駆け引き京商人の心意気ですか、面白いです、池田屋事件は翌年ですが、とびきり屋さん、三条木屋町池田屋とすぐそこですがどんな絡みになるのでしょう。次巻が楽しみ。2014/09/25
ユメ
37
真之介とゆずは枡屋に頼まれて桂小五郎を匿う手助けをすることになる。だが、「とびきり屋」には芹沢を筆頭に新選組も出入りしているわけで、この店にこの先いったいどんな波瀾が訪れるのかとはらはらし通しだ。でも、真之介もゆずも、世の中がどう転ぼうが逞しく生きていく京商人のしたたかさをしっかり備えているので、きっとどんな難局も二人で切り抜けていくのだろうという安心感もある。殊に、男たちが起こす幕末の騒乱なんて馬鹿馬鹿しい、家族揃って平和に暮らしていくことが第一だと信じてやまないゆずからは、女の強さが感じられた。2018/12/13
さと
35
道具屋 とびきり屋を舞台に繰り広げられる心温まる短編6話真之介とゆずの人情溢れるやりとりに懐かしさを覚えながら京の市井にタイムスリップ。「一番ええもんを一つだけ買う」私もかくありたい。解説にあった、骨董は元来秘蔵するもの、人から人へ渡り歩き、その腕に抱かれてこそ。美術館に収まったら終わりというくだりは、無知な私への一喝にも聞こえた。2014/08/09
はにこ
30
仲睦まじいとびきり屋夫妻。真之介がやや危なっかしいけど、ゆずちゃんがでしゃばり過ぎないけど出来る嫁で安心する。夫妻の商売の面白さを学び成長する姿は微笑ましいんだけど、幕末の時世に揺すぶられていて心配。芹沢が出てくると特にヒヤヒヤするわー。2021/10/07