文体としての物語 増補版

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文体としての物語 増補版

  • 著者名:小森陽一
  • 価格 ¥5,500(本体¥5,000)
  • 青弓社(2014/04発売)
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  • ISBN:9784787292100

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内容説明

明治期の西欧的な文体の導入は日本文学をどのように変化させ、解体し、新しい型を生み出したのか。二葉亭四迷や森鴎外などの小説を題材に、新しい文体と物語が誕生した時代をとらえ、表現することと読むこと、聴くことに目を向けて近代文学の始まりを問う。

目次

序章 物語としての文体/文体としての物語
 1 ジャンルの記憶
 2 手法の露呈と表現の脱領属化

第1部 小説を書くということ

第1章 文体としての自己意識――『浮雲』の主人公
 1 主人公の設置とジャンルの転換
 2 立身出世型主人公の転倒
 3 「反主人公(ルビ:アンチ・ヒーロー)」の誕生
 4 内的対話としての自己意識
 5 言葉を対象化するもう一つの言葉

第2章 『浮雲』における物語と文体
 1 科白と地の文の葛藤
 2 会話場面と物語の展開
 3 自己認識の幻想性
 4 メタ小説としての『浮雲』
 5 内在的読者を生成する文体
 6 相互葛藤的な文体の自己差異化

第3章 表現の理論/物語の論理
 1 ベリンスキーと二葉亭
 2 「只一の感動」の理論的可能性
 3 ヘーゲルと朱子学の対峙
 4 「霊感」と「理気」のはざまで
 5 「偏執の気」としての文学

第2部 記憶を語るということ

第4章 結末への意志/結末の裏切り――嵯峨の屋おむろにおける物語と表現
 1 独白体の発見
 2 作中人物の内と外
 3 語り手の位置の乖離
 4 物語の結末と文体
 5 傍観者の位置
 6 物語の生成力と文体

第5章 結末からの物語――「舞姫」における一人称
 1 自我構造の多層性
 2 自己認識の複数性
 3 外化した自己と内化した自己とのはざまで
 4 他者の言葉との対峙

第6章 人称的世界の生成――鴎外ドイツ三部作における文体と構成
 1 人称的自我の選択
 2 偏りとしての個別性
 3 傍観者的一人称の可能性と限界

第3部 他者と関わるということ

第7章 独白の系譜――広津柳浪の初期作品を中心に
 1 対話者を奪われた発話
 2 自分に対する応答
 3 他者性の介在
 4 語りの審級の転換

第8章 くやしさと恥ずかしさ――「たけくらべ」における制度(ルビ:ラング)と言説(ルビ:ディスクール)
 1 子どもたちの大日本帝国
 2 学校に囲い込まれた遊び
 3 資本制下の子どもたち

第9章 囚われた言葉/さまよいだす言葉
 1 言葉の網目としての関係性
 2 声にならない声 
 3 言葉としての家の内外
 4 心の底に潜む言葉

第4部 言葉を受け取るということ

第10章 「こころ」を生成する心臓(ルビ:ハート)
 1 呼びかけの人称性
 2 「血」として受け継がれる言葉
 3 家族の論理から自由になること

第11章 〈読む〉ことへの夢想
 1 相互作用(ルビ:インタラクション)としての読書/同期化(ルビ:シンクロニゼーション)としての読書
 2 異化作用(ルビ:オストラニエーニエ)としての読書/否定性(ルビ:ネガティヴィテ)としての読書
 3 読書する場(ルビ:トポス)/読書する身体
 4 意味としての言葉/イメージとしての言葉
 5 意識としての読書/無意識としての読書

第12章 聴き手論序説
 1 語り手/聴き手
 2 伝え聞くこと/聞き伝えること
 3 物語の〈場〉/〈場〉の物語
 4 聴き手が書き手になるとき
 5 音声言語と文字言語の境界
 6 痕跡をたどる出会い
 
初出一覧

あとがき
増補版あとがき

ほか

感想・レビュー

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fantamys

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透明にして透明でない語り手(と聴き手)が物語を 動かす2021/01/02

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