内容説明
マリアナから米軍を撃退すべく第一艦隊は一〇隻もの空母を集結。だが、敵空母機動艦隊の前に敗北。制空権を失ったサイパン島の基地航空隊は夜陰に紛れて撤退を始める。しかし、一部機体には後退命令が下りず、現場は混乱が続いていた。一方、重雷装艦「大井」では、空中雷撃に特化した新兵器「翔竜」の実戦投入の準備が急ピッチで進められていた。付近を航行中の大規模輸送船団を撃滅するためだったが、そこには米高速戦艦隊が……。絶体絶命の危機に翔竜は故障中、果たして僚艦「北上」と「大井」の運命は!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kochi
16
現実の歴史とは異なり、満州の油田が戦前に発見されたことから、その後の歴史が少しずつ変わっている並行世界の架空戦記物。本書は想定年代1944年において、敗色濃い太平洋戦線での日米の戦いを扱う3巻シリーズの<上>。ロケット兵器「翔竜」がメインの重雷装艦「大井」と40センチ砲を備えた防空巡洋艦「大峰」と米戦艦との艦砲戦が描かれる。機械は肝心な時にたいてい故障するが本シリーズの前提なので、戦いよりもいかに修理するかにページ数が咲かれたりして、技術系にはすこぶる安定した読後感…2019/04/05
スカイバニラ
5
防空巡洋艦「大峰」と重雷装艦「大井」が砲雷撃で米艦船と対決!!でも中身はやっぱり谷甲州節、だがそれがいい。2012/10/07
ziglar
2
新兵器の修理に、攻撃の成否がかかっているとか、よく考えるとすごく燃える場面のはずなのに、どう直すかといえば、他の兵器から故障したのと同じ装置を持ってきて無理やり交換とか、ひたすら地味で泥臭くて、いつもの谷甲州だなあと思いつつも、読んでしまうのだった。2012/11/12
いちはじめ
2
日米開戦以降、毎回史実よりはかなり善戦してるはずなのに、新刊が出るとやっぱりジリ貧状態から始まるという、シジフォスの岩的な徒労感に今回もくらくらしながらも、だが、そこがいいのだよなぁ。2012/09/29
Hammer
1
今回は海戦が主体。みんな大好き重雷装艦が出てきたよ!大井、北上とも対艦誘導噴進爆弾の翔竜の搭載艦に改装されてるけど。とにかく重雷装艦が活躍。酸素魚雷の活躍も見たかったけど谷甲州にそれを望むのはお門違いか?しかし40センチ級の「巨砲」の撃合いが谷甲州作品で読めるなんて。すごい時代になったもんだ。まあそこは谷甲州、それなりに地味ですけど。2012/09/28