内容説明
児童文学のノーベル賞にあたる、国際アンデルセン賞作家賞受賞! 世界的注目作家の新たなる代表作。闘蛇と王獣。秘められた多くの謎をみずからの手で解き明かす決心をしたエリンは、拒み続けてきた真王の命に従って王獣を増やし、一大部隊を築き上げる。過去の封印をひとつひとつ壊し、やがて闘蛇が地を覆い王獣が天を舞う時、伝説の大災厄は再びもたらされるのか。傑作大河物語巨編、大いなる結末へ。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kishikan
298
獣の奏者ついに完結。なんか、ナルニアとかロード・オブ・リングのようなファンタジー映画を見ているようでした。解説の縄田一男さんも言ってるけど、50を超えた男が感動に涙してしまうほどでした。優れたファンタジーは大人の心も揺り動かす力を持っているのですね。上橋さんは、当初闘蛇編と王獣編の2編で終わらすつもりだったようですが、いえいえエリンの息子ジェシが登場したからこそ、家族の絆とか人間愛が際立ったのだと思います。こんなせちがない世の中だからこそ、平和や自然、野生というものを人間は大事にせねばならないのですね。 2016/03/16
absinthe
288
悲しい結末だったし、これからの世はますます大変になる。いつどの時代に生まれても安寧は訪れないのかな。ひとりの力ではどうしようもなかったのか。すべてが無駄に終わったわけではなかった。人々は新たな学びを得た。absintheは思う。歴史は繰り返さない。次の世は少しでも賢くありますように。2020/06/20
kaizen@名古屋de朝活読書会
261
どこで「残った人々(カレンタロウ)」の話が出てくるのだろうと、はらはら、どきどきしながら読んだ。ジェシの親が結末でどちらかが亡くなることは想定できた。人を殺して、生き残って幸せでしたでは、話にならないだろうから。ジェシは、母親のエリンと同じように教壇についた。戦を避ける方法を見いだせないまま。2013/05/06
ミュポトワ@猫mode
169
獣の奏者 4巻目、完結編読了しました。最後、こうくるかぁ…ちょっと泣きそうになっちゃったけど、泣く展開は作者の意図するところでではないと思います。ここは泣いてはダメ。そんな気がする。なかなか物語が進まず、う~んとなってしまったところはありますが、最後で作者の意図はなんとなく伝わった気がします。もっと戦闘シーン見てみたかったけど、これも作者の意図とは違うところでしょうよ。そういうのが見たければ他の本読んだほうがいいですね。っで、これ、あと1巻、番外編があるんだよね。どんな内容でしょう。今から楽しみ♪2020/10/02
bookkeeper
166
★★★★★ 初読。祖先が何らかの理由で制約を設けた闘蛇と王獣の育成。隣国が遂に闘蛇の軍隊を手にしたため、エリンは王獣の繁殖と軍用訓練に着手する。秘された謎が明らかになるとき、恐ろしい悲劇が起きてしまうらしいのだが…。 王獣の生態を少しずつ解明しつつも、開戦までの期間が余りにも短くて悲しいです。鶏や馬と同じリアリティで王獣たちが翔ける世界に思う存分浸りました。何と切なくて愛おしいのか。読む度に新たな気づきがありそうです。 「滔々たる歴史の柵から解き放てますように。そのために、ここまで歩んできたのだから」2019/11/28