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内容説明
わずかな量でも瞬時に人を死に至らしめる毒もあれば、じわじわと長い時間をかけてその毒性が現れるものがある。フグ毒やキノコ毒のように、食べ物のなかにも毒が含まれるし、スズランやスイセンやアジサイのようによく見かける植物のなかにも毒を持つものがある。毒性を持つ物質でも使い方次第では「薬」となるし、一般に薬と言われるものであっても量と使用法を間違うと「毒」になるものもある。古来より人は毒と付き合い、毒の神がかり的な作用を見て、その魅力と魔力に興味と恐れを抱いてきた。そうした毒の謎に今日の科学はどこまで迫れるのか。毒の基本知識から毒の分類を通して「毒とは何か」を語り、歴史のひとこまを彩る毒、食べ物のなかの毒、犯罪や事件に使われた毒、麻薬と覚醒剤まで、様々な毒を幅広く紹介する。また意外にも、私たちの生活の隅々にいたるまで毒が関わっていることに注意をうながす。
目次
第1章 毒についての基本知識<br/>第2章 毒とは何か<br/>第3章 歴史のひとこまを飾る毒<br/>第4章 食べ物と毒<br/>第5章 毒による事故<br/>第6章 毒にまつわる犯罪<br/>第7章 麻薬と関連物質
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
トリオネア
55
自分が吸わなくても、タバコは副流煙が迷惑だが、もし大麻が日本で解禁されたら大麻の副流煙も問題になるだろう。大麻のタール(発がん性物質。遅効性)は煙草の3,4倍である。ネコは花、香水、柔軟剤、アロマや消臭剤がイヌよりも肝臓や腎臓を壊す害になりやすいし、鳥は空気の汚染に極めて弱く、大麻の副流煙は人だけでなく人と暮らす動物達にも悪影響を及ぼすかもしれない。かつてはタバコも万能霊薬として売られ、禁煙補助薬も副作用事例でワースト1になるとは、商売もいいかげんなものである。ギンナンは気を付けようと思った。2019/11/20
kinkin
40
毒の基礎知識、毒とは何か、毒を持つ動植物、化学物質などが書かれている。 ひとつひとつの毒についての解説は簡単であるが、過去に起きた事故や事例も書かれていた。著者は薬学博士。そのこともあってか本文内には化学物質や、亀の甲が出てくる化学式がたくさん出てくる。それらの化学式を読んだり書いたりできることの不思議さに気づく。また普段、私たちは身の回りにある様々な化学物質と付き合っていることを知った。2015/02/18
ホークス
36
2012年刊。薬学者による毒百科。新書ながら網羅性が高く、文章も読みやすい。何が毒で何が薬かは用量用法によって変わり、薬学に毒の研究は欠かせない。生物由来でも危険な事は同じで、漢方薬だって毒になる。カドミウムや有機水銀、放射性物質、毒ガス、ガマ毒まで幅広い。麻薬や覚醒剤の事件、様々な毒殺事件についても大いに語る。中国皇帝たちが飲んだ不老長寿の薬がじつは毒だった話や、チョウセンアサガオ、ベラドンナ、マンドラゴラなどがどう使われたかも面白い。こわい話がギッシリで、少し気持ち悪くなった。2024/07/08
TANGO
33
化学式ははっきりいって、私にはちんぷんかんぷんだったけど、毒と薬は表裏一体であることを再認識した。歴史や事件などから読み解く「毒」の世界は、この中にも書いてあるように「薬毒同源」。過ぎたるは尚及ばざるが如し。関わり方で変わるのは、人間も一緒かも。2015/08/17
おりん
31
毒について広く浅く述べてある本。同じ著者による「毒の科学」と内容がかなり被っていて、かつ「毒の科学」の方が情報量が多く、総合的に見ればこの本よりも良くできていると思う。だがその分こちらの方が読みやすい。また、毒の使われた殺人事件についてと麻薬については「毒の科学」よりも詳しく載っていてよかった。2017/11/14