内容説明
孫文、黄興、康有為、宮崎滔天、頭山満……。孤独と忍従、貧困と混乱に堪え、離合集散をくり返しながら革命を志した日中の志士の姿は、『水滸伝』か『三国志』さながらであった。国家の思惑を超え、友情と信義、侠気で結ばれた志士の群像を鮮やかに描き出す。新証言と発掘資料で書き換えられる、驚きの日中近代史。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
3
革命に殉ずる事は男のロマンなのかもしれない。今から100年以上前の清朝末期 内部の権力闘争と財政難、列強諸国との国際関係で弱体化していた清国の改革・革命を志す勇士たちが世界をまたに活動を始める。又その熱き想いに感化され活動に力を貸す日本の壮士たち。著者は彼らの生き様を「天空海闊」と表現する。天はあくまで高く、海は果てしなく広い。その無限の空間を翔けるが如く、近代の夜明けに大義の戦いを挑んだ豪胆な者たち(p26)。本書を読み始めた途端に彼らの魅力にどっぷりと引き込まれます。2015/05/31
Taq Asaq
2
出版が2012年。中国の辛亥革命100年を機して世に出した本かもしれない。どうして全く話題にならなかったんだろう。鼻血が出るほど面白いぜ、これ。中国清朝末期、革命のために身をささげた大陸と日本の志士たちの群像を、資料を縦横に駆使して描くノンフィクション。教科書だったら数行で終わってしまう孫文や康有為たちが、どんな冒険をして革命の火の手を上げたのか、宮崎滔天や末永節たち日本の義士がそんな彼らを、どれほど命がけで支援したのか、平易で、しかも熱く綴られている。ほんと、近代水滸伝ですぜ。下巻も一気読みになりそう。2017/08/21
よし
1
康有為の変法自強運動の挫折〜辛亥革命前夜まで。孫文や黄興などの主要人物のほか、宮崎滔天など日本人協力者まで丁寧に描いている。人物評価も偏った感がなく、文章も平易で読みやすい。2014/01/19
汀松@真言宗
1
ノンフィクションと言うより物語性が強い。当時の日中両国の知識人がどう考えていたかよくわかる。あと孫文そんなにかっこよくない。2013/01/21
ろーじゃ
0
清末から中華民国までの中国革命を扱ったノンフィクション小説です。孫文や康有為、日本のアジア主義者(頭山満・宮崎滔天など)を主な登場人物に上げ、中国革命の進展を描いていきます。保皇派・革命派、立場は違えど理想の国家ビジョンを思い描き、無数の困難に立ち向かっていく姿は圧巻です。 また、アジア主義の日本人との個人的な関係の中で育まれていく、『野』の日中関係が実に面白かったです。国家レベルでの政変に揉まれていく様はアジアの悲劇ともいえますね。2013/01/01