内容説明
辛亥革命を成功に導いた者は孫文一人だけではない。中国近代史の中でもひときわ輝く創造の一時代を守り立てた有名、無名の人々は、いったいなにに心を揺さぶられ、なにに悩み、どう生きたのか。感動の人物エピソードが明かす二十世紀の意外な真実。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
4
中国の自由平等を求める戦いのさなか、志半ばで死んでいく孫文の最期、迫真の場面でした。また最後に孫文の遺書について大変興味深い証言が紹介されている。日本が敗戦直前の時期に香港の総督だった磯谷廉介が語るには、孫文は三通の遺嘱を残したことになっているが、署名だけした白紙を四、五通、同志たちに残したという。著者はその白紙委任の一通は蒋介石も手にしたのではと推察する。まさに、歴史には時として語られないまま埋もれてしまった真実がある。甘粕正彦風に言えば"真実を知る人は語らない"ということか。2015/06/02
秋津
2
「玄洋社」や「南方熊楠」など、なじみのあるものと辛亥革命、孫文の関係を少しでも知ることができてよかった。 途中で何度も中断して別の本を読んだのは、つまらなかったわけではなく、図書館や仕事の関係。もちろん知らないことが多すぎてついて行かれなかった部分もある。 しかし、「中山」の由来がそんなこととは・・・。楽しいな。2012/12/25
ゾロりん
1
宋教仁のことが知りたくてさーっと流し読み。ちょっとしか出てこなかったな。2019/02/17
Taq Asaq
1
下巻も一気読み。歴史は全く勝てば官軍で、教科書に名前が載るのは一握りだ。しかし、革命を成功させるまでには膨大な血が流れ、英雄になりかけた人や無名の人士が死屍累々と積み重なっている。日本では「桜の下には死体が埋まっている」と言うが、なんとも余韻のある比喩だと思う。中国革命には、日本の在野人が支援を惜しまなかった。きっと、彼らは明治維新に遅れて生まれたことを悔い、中国に維新をと身を砕いたのではないか。それにしても、負ければ惨めな死が待ち、歴史から抹殺される。それでも人が革命にかきたてられるのは、何故だろうか。2017/08/29
よし
1
革命成功〜孫文の死まで。「中国人は砂のようだ。いくら手で固く握ってもパラパラと指の間からこぼれ」てしまうと自らが語っているように、様々な思惑に翻弄され、思うままに革命を達成できずにいる孫文の姿を描いている。それでもくさらずに愚直に進んでいく、「人間」孫文の生き様はとても心に沁みる。2014/01/22