内容説明
“流転する生命”という最凶の力を引き摺りながら進軍する女帝アナスタシア。その傍ではニコロだけが一命を取り留めていた。帝国を脱出したジュリオとシルヴィアには死の追跡の手が伸びる。一方、疲弊した聖都でミネルヴァは記憶と精神、全てを失ったクリスと対面した。裡なる獣を封印するにはそれしかなかったのだ。そしてついに聖将軍となったフランは全てを背負い、帝国との決戦に挑む。「真名を思い出したらあいつはもう、クリスじゃなくなる。そうしたら、斬ればいい」定められた刻印の運命によって分かたれたミネルヴァとクリスの最後の戦いの行方、そしてはじまりの獣と終わりの女神が出逢うとき、世界は――。一大ファンタジー巨編、ついに終幕!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
26
最終巻。泥沼化して希望が見えてこない、帝国と聖王国軍の苦しい戦い。聖将軍となりながら聖王国軍の騎士に認められずに苦労するフラン。そして失われた真名を求め続けるクリスと、テュケーの力を失いつつあるミネルヴァ。運命に翻弄されながらこれまで戦い続けてきた人たちの、それぞれの決着をつける物語でした。これはこれでひとつの終わらせ方なのだろうとは思いますが、ミネルヴァとクリスの物語として考えると、個人的には二人で一緒にその運命を克服して、新しい未来を歩く姿を提示する道はなかったのかなあとはちょっと感じてしまいました。2014/06/18
晦夢
10
最終巻。ん〜なんかスッキリしないな。主人公はジュリオですかね。あとパオラが非常によかった。杉井さんの肉体派モブは大体あんな感じだなw2014/04/09
tonkatudon
8
積み本をかたずけました。 カラー絵が、引きこもりのクリスをミネルヴァが引きながら見つめる絵にみえてしまいました。 獣と女神の出会いが、 カップル誕生するだけの終わり方のような気もしますが。 得体のしれない神の力に翻弄される人間模様とう言う点では、ごった煮で面白かったです。2012/03/23
刻猫
7
許され得る中で、最も美しい結末で、だからこそ悲しい、物語の終わり。誰もが何かを失い、在り方は変わり、険しい道を進む。また、苦難の果ては、クリスとミネルヴァには、閉ざされた永遠であり、フラン達には、非情な覇道であり、生き残った人々には哀しみ、寂しさであって、手放しで、幸福な終わりとは言い難い。それでも、美しい物語。人々の純粋な想いや尊い祈り、眩い誇りがあるから。2012/07/03
東西
7
クリスとミネルヴァの結着は納得のいく内容でしたねー カーラが人間的な面を見せて意外だったのと、ガレリウスとアルビレオスがいい味出してるおっさんだった2012/05/19