内容説明
関東湾人工島の自治区に男女別で隔離されている人間たちは、人工妖精(フィギュア)と共に暮らしていた。その一体の揚羽(あげは)は、亡くなった後輩が葬式で“動く死体”(リビング・デッド)になってしまった事件の謎を追う。一方、自警団(イエロー)の曽田陽平は人工妖精の“顔剥ぎ”(フェイス・オフ)事件の痕跡を捜査していた。どちらも当初は単発的な事件だと思われたが、突如自治区を襲ったテロをきっかけに、これらの異変が自治区の深い闇のほんの一端であることを二人は思い知る……。人間に仕える人工妖精の愛と苦悩を描くアンドロイド成長SF第二弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とくけんちょ
33
相変わらず、世界観は好み。SFだけども、血の通った事件が起きるってとこが魅力なんだが、今作は、とにかく語りが多い。うんちくとか哲学的な語りは世界観を構築する上で必要だとは思うが、それを差し引いても語りが多い。もっとシンプルに事件を追う、リアルな謎に立ち向かう洋平たちを見たかったかも。2025/03/22
いりあ
30
籘真千歳のスワロウテイルシリーズの第2弾。残念ながら1巻を読んでいないという失態をしてしまった…。なので微妙に登場人物や前回の事件についての記述についていけない所があったけど、なかなか面白かった。最近のリアルでの状況をうまく小説の中に取り込んであり、物語のSF全開の内容にリアルな雰囲気を漂わせている。最近ラノベと一般小説の垣根が低くなり、作品の文章量が減っていく風潮があると思っているのですが、この作品はとても文章量が多いと感じました。とりあえず1巻を読んでこのモヤモヤを消さなければ。2012/08/02
ヤギ郎
22
再読。ふとした時に読みたくなる。筆者は、あとがきに書いているように、10年後に読んでも色褪せない物語を目指している。キャラクターを通して、世界に対する姿勢を学ぶ。政治的な駆け引きや人工知能の対決など、SF心をくすぐる要素が盛りたくさん。説明が長すぎて疲れるところもあったけど、読み飛ばさずにじっくりと読んでみた。キャラクターの心情描写は薄いので、設定ばかりの物語になってしまっているところは否定できない。モノリスは世界の幸せを記述しているのだろうか。2020/04/02
シュエパイ
22
抹消抗体襲名"予定"の人工妖精、薄羽之西晒湖ヶ揚羽の物語。途中まで、これは過去なのか未来なのか悩んでいましたが、なるほど!表紙の意味にもやっと気がつきました。あぁ、幸せになってほしいと願っていた揚羽の、道はまだ途中かもしれないけれど。それぞれに、己の選んだ道を進む姿はやっぱり素敵で、哀しいのです。魂や自我に関する考え方も、いろいろ考えさせられて♪ 最後のほうで、ガラスの靴は無くっても、少しだけ楽しい時間を過ごしにいけたみたいで嬉しい♪いつか、二人が再開する日まで、物語が続いてくれるといいなぁ・・・2011/10/11
Musa(ムサ)
11
人工妖精と呼ばれる人造人間と人間が共存する世界を描いたシリーズの二作目。前作を読んでからかなり間が開いて細かい部分を忘れてしまい、違和感を抱くように作者が書いた部分を気付かないまま読み進めてしまい少しもったいないことをしてしまいましたが、全体とては楽しめる内容でした。2021/12/30