内容説明
同窓会で久しぶりに再会した中年5人が始めた秘密基地の集まりに、1人が息子を連れてきたいと言い出した……「秘密基地に午後七時」、男の子と、離婚する両親との最後の外食を描いた「少しだけ欠けた月」など、美しい四季と移りゆくひとの心をテーマにした短篇集「季節風」シリーズの秋篇。ひと恋しい季節にそっと寄り添うような、秋の物語12篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
241
何度も書くけど、重松さんと私はかぶることが多い。まず世代、そして東京の私大進学のため、故郷そして両親を置いて上京、その後は帰るのは帰省のときだけ、と言う。なので、どうしても故郷や老齢の親を描いた作品には弱いし、身につまされてしまう。子ども目線作品は苦手。デビュー当時からかなりの数の作品を読み込んでいると自負する身としては、どの作品も正直少しずつデジャヴュ感強く、読みきるのがキツかった。新聞連載小説…なるほど。2016/06/13
ふじさん
96
季節風シリーズの秋。駄菓子屋の頑固なオニババと三人のガキの関りが微笑ましい。サンマの煙での娘の転校の話、自分も4年生の時にに転校した経験があり、娘の心境に相槌。風速四十米、父親の姿に懐かしさを覚える。キンモクセイの住み慣れた家を離れ、娘のもとに行くことになった老夫婦の佇まいがじんと心染みる。ウイニングボールでは、草野球チームの姿とそれを応援する陽平の姿が何ともいえない味わ。おばちゃんのギンナンでは、ギンナンを通して語られる祖母、嫁、孫の関りがいい。秘密基地に午後七時は、中年の男のロマンが何とも言えない。2023/09/01
じいじ
74
『季節風』シリーズも秋号で完結。頑固で口達者な婆さんはまだ現役、文房具屋の女主人で頑張っています。街の悪ガキが付けたアダ名が「オニババ」は、ちょっと可哀そうです。ある日、悪ガキ3人組と対峙するハメに…。私のお気に入りは【サンマの煙】引っ越しの荷解きは、私も10回の引越しで経験済み、想像以上に重労働です。こちらの亭主は作業の邪魔で役立たず。テキパキ働く妻に「それにしても、おまえ手際良いよな!」「ふざけんな!」と怒鳴りつけてやりたいです。大好きな重松小説の4連発で、お腹いっぱいになりました。ご馳走さまでした。2023/08/24
乱読亭AKIRA@晴釣雨読🎣
74
重松さんの短編集にはハズレがありませんね。本作も短編集で、タイトルにふさわしい秋の冷たい季節風が作品全体に吹き付けられているかのように、どのお話も現実的で切なく感じました。重松さんの作品は年を重ねるごとに、身に染みるお話が多いと思います。それなので、本作品も期間を空けて、自分が中年となり、家族を持ったりして、大人としての責任が今よりも大きくなってから読み返してみたいです。2015/12/28
えりこんぐ
69
このシリーズはじめて読みます。ここ最近秋じゃないだろってくらい暑い? もっと秋が深まってから読めばよかったかな? ちょっぴりビターな味わいの短編集だった。ラストの「田中さんの休日」が好き。うちも夫婦と娘ひとりなのですごくわかるなぁ。娘が夫から距離を取ろうとするのに比例して、どんどん気難しいおっさんになっていってる。。2018/11/06