内容説明
責任感が強く、うつ症状から自殺未遂を起こした会社員。両親への信頼が崩れ、リストカットに走る女子高生。単身赴任中に妻と子をなくし、パニック発作に苦しむ男性。緊迫した症状の患者と向き合い、心の悲鳴に真摯に耳を傾ける精神科医の人間ドキュメント第2弾。仕事を失いそうな時、大切な人をなくした時、心のバランスを崩す可能性は誰にでもある――悩める現代人、必読。
目次
遺された人たち 自死遺族
回復期に潜む危険
躁転
幻聴
麦茶
急性薬物中毒
研修医
過量服薬
解離性障害
大人のPDD
PDDの妻たちへ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
葵@晴読雨読
21
街の中にあるメンタルクリニックでおこなわれている診察。診察の中で出会ったER的対応が必要なケースや著者が研修医時代に出会った患者さんの事をまとめた記録。2014/12/15
青葉麒麟
13
医者は皆大変だと思うけど、精神科医が一番きついんじゃないかな?あんまり親身になりすぎると、自分までもが持ってかれそうになるし。兼ね合いが難しそう。本人は勿論だけど、家族も大変だわ。自分の周囲にPDD(広汎性発達障害)がいたら多分キレてるわ。2015/08/03
佐島楓
13
発達障害に関心があったのでこの本を買ったのだけれど、具体的な治療法などには触れられず、奇矯な言動をする患者のことばかり書いてあったので不満を覚えた。そうした一見してびっくりされてしまうような症状にも、必ず原因はあるし、たいていの場合治療可能だということは精神科医が一番良くご存知のはずなのだが・・・。内容は正直申し上げて薄い。2011/07/09
とも
12
精神科ではどんな症状があると「緊急入院」が必要になるのか。キーは、切迫した自殺の危険性と、他者へ危害を加える危険性。これらがどの程度なのか見極めるため、医師は患者に質問し、じっくり様子を観察する。患者を診ている精神科医の頭の中をのぞいているようでおもしろい。「大切な人を突然失った家族」が生まれる救急救命センターで知った精神科の存在意義。現在はクリニックで勤務する備瀬先生。入院設備がないだけに、入院が必要と判断した場合、他の医療機関を受診するまでにどう症状をコントロールするか悩む先生が見えてくるようでした。2016/07/16
のの
12
どうすることもできないことを「どうすることもできない」と書くのはなかなか勇気のいることだ。医師という立場であるなら尚更。そして実際どうにかすることが難しいのが精神科医療の現場だと思う。なにからなにまで病院のなかで行えるわけではないし、治療が終われば社会へ戻るのが道理だと思うのに、それがままならない現状。地域社会の理解がもう一歩前進したら、精神科医療を取り巻く環境も変わるだろう。2011/12/07