内容説明
山の神々に触れ、問いかけ、祈りながら作家・立松和平氏が登った六年余の、まだまだ続くはずの巡礼の山旅が、突然終わりを告げました。
これまで山の専門誌『岳人』の連載のために登った霊峰は七十三。
二〇一〇年二月に他界し、百霊峰には届きませんでしたが、「頂上を目指すのは山を征服する欧米のアルピニズム。日本の深い精神性に基づいた登山の道程こそが、百霊峰巡礼だ」という立松氏の思いをかんがみるに、百というゴールにこだわりはなかったのではないでしょうか。
本書には、五十一座目から七十三座目までの二十三の霊山を収め、未完の完結編とします。 歩いた道を辿るのもよし、歩くことができなかった二十七の霊山を行くのもまたよし。
立松氏の思いを引継ぎ、それぞれの百霊峰巡礼を見つけてください。
【本書に収録の霊山】
宮之浦岳(鹿児島)宝満山(福岡)七面山(山梨)雲仙岳(長崎)本宮山(愛知)高賀山(岐阜)阿蘇山(熊本)斜里岳(北海道)槍ヶ岳(長野・岐阜)早池峰山(岩手)鳥海山(秋田・山形)木曽駒ヶ岳(長野)御在所岳(三重・滋賀)鷲峰山(京都)妙見山(大阪・兵庫)弥山(広島)那智山(和歌山)伊吹山(滋賀・岐阜)両神山(埼玉)森吉山(秋田)笠ヶ岳(岐阜)三輪山(奈良)清澄山(千葉)
目次
宮之浦岳(鹿児島)―屋久杉の森をぬけて
宝満山(福岡)―自然崇拝の感情
七面山(山梨)―天上への白い道
雲仙岳(長崎)―霧氷の銀の花咲く
本宮山(愛知)―神は磐座に降りた
高賀山(岐阜)―神の形は稚児なれや
阿蘇山(熊本)―お山は激しく生きている
斜里岳(北海道)―渇仰してきた山
槍ヶ岳(長野/岐阜)―播隆上人の功徳
早池峰山(岩手)―木綿の白衣をつけて〔ほか〕