内容説明
「パイプのけむり」のアンソロジー第2弾!
「或る晩、横須賀線の下りの終電車で逢った親しい英国人のルイス・ブッシュが、シェトランド島に行って来た。何も無い北大西洋の孤島なんだ、でも何だか素晴らしい島だった。君も行ってみないか、と言ったのがこの島と僕との関係の始まりだった」(『再訪』より)。ダンディで知られる作曲家は1年の内、4ケ月が海外、2ケ月が国内の旅という日々を過ごしていた。テヘランでは手裏剣のショーに人生を考え(『ある記憶』)、オランダでは鰻の出自に思いを馳せ(『オランダの鰻』)、ナポリではブオーノなる謎の果実を賞味して(『ブオーノ』)……。豊饒なる旅の足跡。
目次
夕焼け
じじばば
無銭旅行
ある記憶
空の青
ジョセフィーン
匂い
銀都
余白
ロドスの蝶〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
11
まだ私の知らない世界がこんなにも存在する。美しいところも、汚いところも逸らさず書かれる。いつかもっと英語だけでもなんとかして、こんなふうに世界じゅう旅をしてみたい。2011/08/13
sawa
4
★★★★★ 一つ一つが一編の上等な小説のようで、本当にこのシリーズが大すき。選集ではなく、全集で刊行していただきたいものである。2011/06/19
hirayama46
2
作曲である團伊玖磨が『アサヒグラフ』に長期連載していたエッセイからテーマ別にセレクションしたもの。1年の半分を外国で過ごされていたそうで、多くの地域を巡っていますね。都市部だけではなく、自然の奥深くや貧民窟のような場所にも赴いていて、冒険作家のような幅広さでありました。しかし、30年以上の連載から選ばれているので、本文に「最近は~」などと書かれていてもいつごろだかわからないことが多く、初出誌は書いておいてほしかったな、と思いました。2020/11/16
filter
1
高名な音楽家が著者との事で、どんなに難しい本かと思ったがするすると読み終えてしまった。「如何ですか」の中で語られる新幹線の車内販売の間隔の短さが可笑しい。1分置きとか2分置とかで来る車販スタッフもどうかしているが、その様を洩らさないよう一生懸命記録している紳士を想像してしまった。「ジョセフィーン」は是非本国の話を読んでみたいと思う。2010/01/27
ぱや
0
数年かけて何回か挫折しながら読み終わった。ものすごくたくさんの旅の記録、どうやって記録していたのか?メモだったのか?と思った。多種多様な人や場所、出来事だが、どの話も最後は優しく包まれて終わる。たくさんの経験をした人らしい文章だった。こんな人と話がしてみたい。2017/03/09