内容説明
『夢解釈』を発表したフロイトは「ドーラ」、「ハンス」、「鼠男」、「狼男」などの症例を経て、改めて精神分析を構築することを志す。1913年に執筆され、『メタサイコロジー序説』という表題の書物にまとめられるはずだった論文は、しかしフロイト自身の手で破棄され、さらなる理論的展開の礎として存在し続けることになった。第一級の分析家による渾身の新訳で「メタサイコロジー論文」を初めて一書の形にまとめた待望の書!
目次
欲動と欲動の運命
抑 圧
無意識
夢理論へのメタサイコロジー的補足
喪とメランコリー
転移神経症概要[草稿]
訳者解説
訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
evifrei
18
フロイト自身によるフロイト理論の最高の解説書ではないだろうか。自己の理論を生み出しそれを礎石にしながら、精神分析の臨床的経験を解明していった経過を手に取る様に読むことができる。生物学的知見から遊離した記述も見られるが、フロイト理論への具体的な接近を可能にすると共に、経験からの分析者であり理論家でもあったフロイトの生きた姿を垣間見させる一冊だ。欲動は①対立物への反転②自分自身への方向転換③抑圧④昇華という結末を迎えるが、これらが快感原則や抑圧理論の基礎となっているという点を簡明に述べた点が特に興味深かった。2020/07/21
et
1
喪失したものを弔う時間が十分にないと病気になる。解決を急いではいけない。フリストンの自由エネルギー論が思い出される2025/12/20
りっとう ゆき
0
見えないものをよくここまで理論として構築したなあと。その真偽がどうあれ。ゆったらこの理論自体妄想だとされかねないというのに。特に抑圧のメカニズムとか。欲動とか情動が不安に置きかえられてしまうとか。理論自体が絡み合ってることのすごさ。フロイトの解説本しか読んだことなかったので、根底にこんな理論があったんだなあと改めて知れた。(すべて理解できたわけではないが)2024/03/18
K. I.
0
転移神経症概要は途中で挫折。後からまた読み直すのではないだろうか。2023/05/21
yoyogi kazuo
0
冒頭の欲動論の冒頭部分がフロイトの精神分析論の肝といっていい箇所で、精神分析を一つの科学だとする意気込みが伝わってくる。だがその内容は難解でとても理解できなかった。たぶん何度も読み直す必要があるので、持っていて確実に損のない一冊ではある。2022/12/29
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