内容説明
妻の病を治したい、子供を一流中学に入学させたい……。人の弱みにつけこむ勧誘方法で、「神の郷」は設立から十年、二千人の教徒を有する宗教法人に成長した。教祖の神郷宝仙は、金銭欲や性欲などあらゆる欲望の滅失を説く一方、自身は三百五十億の金を教徒から毟り取り、六百人の女性教徒と関係を持つ。金や情欲に溺れる神郷の過去に何があったのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナマアタタカイカタタタキキ
57
神郷宝仙率いる宗教法人“神の郷”は絵に描いたようなカルト教団。プロローグの凄惨な描写に面食らい、ここから親の仇である教団に立ち向かう少年の戦いが始まる…と思ったのは私だけではない筈だ。以後は神郷視点で神の郷の実態が明かされるが、教祖神郷がこの上ない俗物で、その醜態や妙な機転の利かせ方に笑ってしまう。しかし、教祖の右腕的存在である氷室のような怜悧な人物が、杜撰な教義を真に受け(ともすればその聡明さ故に)のめり込む様は、現実の某真理教を彷彿させる。平易な文体で展開も早く退屈はしないので、中巻も読むことにする。2020/10/30
キムチ
43
動画的作品。ストーリーは似たような場面とセリフに終始して、感動はもとより、共感も上巻もな~んもなし。人それぞれだろうけれど、読む時間がもったいなく、3分の2でリタイア。2017/01/30
sayan
26
カルマ真仙教事件や教団Xに近い印象。冒頭は圧倒的な描写で、物語に一気に引き込まれた。が、ステージが変わってから、説明が長くなる。それはどう新興宗教をつくったかといよりも、その運営状況を生々しく描写している。好き嫌いがはっきり分かれるかな。内容的には、登場人物の発言は、浅く、心底胡散臭い。そして、その胡散臭さの中に救いを求める、真理や拠り所を求める人々の右往左往振りが、滑稽に映る。とは言え、気が付いたら自分がそうなっているのかも、と一種の怖さを感じる。食傷気味な描写だが、残り2巻、中・下と読み進めてみたい。2018/05/02
Gemi
23
借り物の黒新堂作品の2冊目。初めて読んだ『吐きたいほど愛してる。』のグロさが気に入ったので続けて読んでみた。しかしグロいのはグロいのだが、前作が短編だっただけに今回はダラダラと長く感じた。比喩の表現も独特と言うか、ちょっとチープに思える。この調子で下巻までとなるとちょっとしんどいかな。中巻で目を見張る展開を期待。とか言いながらも下巻までは読むかな。メシア神郷の視点を読むと欲に塗れた人間らしさに反吐が出るが、盲目の子羊である氷室視点を読むとメシアの言動が正しく感じられる。洗脳の恐ろしさ、危険さを垣間見た。2014/01/07
福猫
23
ひゃぁ。長かった。読んでいる本に登録したのが9/10。上巻だけで実に一週間近くかけて、やっとこさの読了。面白くないわけではないけど、今ひとつ…ページをめくる手が滞る乗り切らなさ。描写のグロさは新堂さんなので、覚悟ができていたが、荒唐無稽さがちょっとしつこい。次は600ページ弱の中巻…。やっぱり1ヶ月かかるな~。2012/09/15