内容説明
「北北西に進路を取れ」を見たあとで、新手は使っていないと友人の一人が言った。この印象は前半において正しいが後半において誤っている。「海外特派員」は一地点から地理的に主人公と事件が移行していくコンストラクションの点で「三十九夜」のヴァリエーションなのである。そして「北北西に進路を取れ」を見ていると、いままで使った手法を背景を変えただけで面白く見せている印象をあたえるが、全体としての新手をヒッチコックはこの映画で試みているのである(『ヒッチコック総決算「北北西に進路を取れ」』より)
目次
第1章 ヒッチコック(ヒッチコックの「白い恐怖」とこの映画に参加した世界的超現実画家ダリ;ヒッチコック出演映画に関する考察;ヒッチコック;ペンギン鳥だと言われたヒッチコック;ヒッチコック総決算 「北北西に進路を取れ」;ヒッチ・スケッチ)
第2章 ジョン・ヒューストン(女嫌いな作家ジョン・ヒューストン―「アフリカの女王」と近頃流行のアフリカもの;「赤い風車」をめぐって;映画芸術家研究 ジョン・ヒューストン物語;ヒューストン再びアフリカへ戻る)
第3章 カザン、ワイラー、その他の監督たち(ブロードウェイとハリウッドをまたにかけて歩く男エリア・カザン、その知られざる半生;ウィリアム・ワイラーと話した五分間;映画芸術家研究 キング・ヴィダー物語;監督の横顔 ジョン・M スタール;監督の横顔 レオ・マッケリー;「絶壁の彼方に」の監督シドニー・ギリアットのこと)