内容説明
戦国の雄・武田信玄を継いだ青年武将勝頼は、しばしば猪突猛進、思慮分別の浅い武将だとの評価を受ける。だが、史料、史蹟を徹底的に調べると、全く別の人物像が浮かび上がる。戦国武将団の統領の懊悩と悲劇。激動の時代を生きた波乱の人生。ここにその実相が展開する。新田次郎の記念碑的歴史大作。(全三冊)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
326
久しぶりの時代小説。『武田信玄』を読んでいないのに、妙に惹かれたのでコチラから。一巻はかなり緩やかに進行し、まだ信玄のご威光が効いている時なので、先のことを知らずに読めば、このまま勝頼が成長して、最強武田騎馬軍をまとめていってしまうのではないかと思わされる場面も多々ある。反面、不貞腐れて軍議に参加しなかったり、御親類衆の顔色を伺いすぎたり、弱腰なところも多く描写されており、全体的に、信長や家康、真田昌幸に穴山信君といった、キャラ立ちした連中に呑まれて、主人公であるはずの勝頼の影が薄い。2018/09/01
榊原 香織
67
3巻本の1 ちょうど今大河でやってる辺りから始まる。タイムリー そして、掛川城やら高天神城やら、知ってるとこがいっぱい出てくる。 吉田城も重要な場所なんですね。プレハブみたいな天守閣が立ってるけど あ、間違えた。あれは小山城か2023/05/25
金吾
31
○勝頼の真面目で才能はあるが視野の狭い小者っぷりが上手く書かれています。また敵役としての徳川の非道さや梅雪の増長も印象に残りました。2024/05/20
金吾
28
○勝頼が家督をついで、調子良かった時代の話ですが、既に不和の芽が育っています。信玄が嫡男としてより一武将として扱っていたことにより、当主としての力を発揮できていない状態であるとともに、勝頼が個人的事情を優先させたり、虎の威を借りる狐のような部下を重要視したことにより穴山信君等から不信感を向けられていることがうまい具合に話の中に嵌め込まれているように感じました。2022/06/14
金吾
26
武田信玄の続編という立場の本で、武田信玄を読んどいたら人間関係や史実外の登場人物を理解しやすいです。結果的に滅びるのはわかってますが、この巻の勝頼は色欲の優先と阿諛追従の部下を重視しているので、そのラインで親族、重臣の信頼を失っていくのかなあと思いました。2019/12/03