内容説明
ドイツ語で「人びと」を意味する「フォルク(Volk)」――。フォルクの伝統的な言語文化の華・メルヒェンの主役は、農民や職人などの庶民で、彼らの善と悪、幸福と不幸が、虚飾のない語り口で描かれる。グリムをライフワークとする池田香代子のいきのいい訳、グリムと同郷の画家ウッベローデの美しい挿画で贈る完訳決定版。第3巻には、「鉄のハンス」「星の銀貨」「子どものための霊験譚」等、92話収録。〈全3巻完結〉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Pustota
6
ついに読み切った。思ったのは、童話というのはやはり願望なんだということ。正しくあれば報われて欲しいという切な願いから、怠けて暮らしたいというものまで。逆にそれは現実では叶えられないことだったのだろう。世界の理不尽を乗り越えるために神話が生まれて、それでも掬いきれないところに童話があるのではないか。解説で訳者は、近代的な「努力して成功する」という価値観を相対化するものとして童話を挙げている。それは確かにそうだが、加えて現代は童話の時代よりは「マシ」なんだと、神話と童話を失った我々は思っていいのかもしれない。2020/03/31
鳩羽
0
「しらゆきべにばら」ってこんな話だっけ。「星の銀貨」は銀貨ってところが絵的にも精神的にも美しいと思った。神様の、というかキリスト教の思想が習慣として徹底されてくると、話がすっきりして読みやすい。「ガラスの柩」でピストルを撃つお姫様が出たところに時代を感じた。2010/10/09
小高まあな
0
懐かしかった!しらゆきべにばら のアニメが子供の時すごく好きだったのを思い出した。今読むと不条理なことがたくさんあるけど、そこがまた良い。2010/08/05