内容説明
ちぢれすっぽんと呼ばれ、同僚の武士どころか市井の町民、はては悪党にすら侮られている、北町奉行所の名物同心・亀無剣之介。 だが、しょぼくれた顔と冴えない言動の裏には、難事件を解き明かす鋭い頭脳と、鳳夢想流免許皆伝の剣術を隠し持っていた。殺しの下手人に対してさえ、したてに出る剣之介であったが、おどおどと、しかししつこく質問を繰り返すうちに、下手人は亀無の中に潜む高い知性と、悪を見逃さぬ執念に気づき、そして恐怖する……。 猛暑の江戸で、お千代は、幼なじみを殺してしまう。殺しの嫌疑から逃れたかに思えたお千代の前に、風采のあがらぬ同心・亀無剣之介が現れた。同心と下手人の息づまる攻防が、ここにはじまる！
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Kira
12
図書館本。シリーズ第三弾。シリーズ読み二回めは巻数を逆に読んでみると、いろいろ面白い。岡っ引きを使いたがらない亀無が信頼する岡っ引き三ノ助が登場するのが、この巻だったか。初読みのときには感じなかったが、亀無と志保が結ばれないのは、やはり切ない。志保の兄で与力の重蔵が毎回披露するとんちんかんな推理は、シリーズの名物といえるかも。2022/06/14
kazukitti
5
久しぶりに読んで、未だに細々と継続中なのが、軽さが多くなった風野作品では嬉しいシリーズよね、の復習中ｗ2022/02/04
まき
4
人を殺す側にもそれなりの事情があって、罪を憎んで人を憎まずの精神がそこはかとなく流れている。この世は無情だね。亀無の見てくれの悪さと違った剣の腕前と感の鋭さがと頭の切れが魅力のシリーズ。隣の与力様の珍推理がまた面白い。 志保とは結ばれないのかなぁ・・・2015/05/12
ひさか
2
2008年9月刊。シリーズ3作め。連作短編3話。風采の悪いちぢれ毛、しかし、実は知的で粘り強い捜査が持ち味の同心のお話。和製コロンボ的な話で、お約束のように、必ず、犯人の犯行の話から始まります。同心と犯人の駆け引きが、ありふれていて、あまり楽しめませんでした。2016/03/15
kazukitti
1
最近展開中のシリーズがなんか軽すぎるなーと思うんで、このくらいの方が安定して楽しめるような気はした。サクサク楽しく読めるのもいーんだけど、読み応えがない気もしちゃうんだよね。全体に比較的重めに「罪を犯す人間の悲しさ・遣る瀬無さ」みたいなのが前面に出てるのがしょぼくれた主人公と相まっていい味になってると思う。難儀な条件付きとは言え、一応フリーになれたヒロインとの今後が気になるw2014/05/05
