内容説明
複製技術に対して徹底した批判を下したと言われるアドルノ。クリシェともいえるその一面的なアドルノ評価を、2003年に新たに公開された伝記や回想録、往復書簡から覆し、ラジオ・映画・テレビなどのなかに社会問題に対するアクチュアリティの可能性を知覚していたアドルノのまなざしを照らし出す。
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目次
凡例
序論
第1章 「流行歌を叩き潰せ」
1 流行歌とプロパガンダ
2 文化産業──?類似性の殴打
3 音符の起源
第2章 物象化と救済
1 たがいに引き裂かれた半身
2 暗号文字としてのオドラデク
3 無声映画の身振り
4 シヨック・哄笑・モンタージュ
第3章 複製技術時代のファンタスマゴリー
1 ヴァーグナーの精神からの映画の誕生
2 文化産業──?偶像崇拝
3 ヒエログリフ文字としての映像
4 中間休止──映像から文字へ
第4章 闘う映画音楽
1 ハリウッドのアドルノ
2 〈ロックフェラー映画音楽プロジェクト〉
3 ハンドルングの中断
4 新たな機能と素材
5 ウイット・幽霊・プラン
6 文化産業にたいするゲリラ戦
補論1 啓蒙とプロパガンダの弁証法──一九四〇年代の社会研究所の大衆メディアとの取り組みをめぐって
1 批判理論の戦時動員
2 カウンター・プロパガンダの勧め──アドルノのラジオ・プロパガンダ論
3 『ビロウ・ザ・サーフェイス』──ホルクハイマーによる実験映画計画
4 終わりに──体制内での批判的実践
補論2 楽園の黄昏──戦後のアドルノ、アイスラー、ラング
1 望まれぬ書物の運命
2 カバとアナグマの友情
第5章 いかにテレビを見るか
1 テレビ──アウシュヴイッツのあとの表象メディア
2 ブラウン管の小人の男女
3 反転した精神分析──テレビとファシズム
4 テレビ視聴者への予防接種
第6章 解放された映画
1 〈ニュー・ジャーマン・シネマ〉とアドルノ
2 映像・自然美・文字
3 イデオロギーとモンタージュ
4 幼年期の知覚の再生
参考文献
あとがき