出版社内容情報
十九世紀のポーランド。歴史への洞察と濃密な文体、詩情溢れるイメージで描く、蹂躙される「生」。吉川英治文学新人賞作家の代表作。独立蜂起の火種が燻る十九世紀のポーランド。
その田舎村に赴任する新任役人のヘルマン・ゲスラーとその美しき妻・エルザ。この土地の領主は、かつて詩人としても知られたアダム・クワルスキだった。
赴任したばかりの村で次々に起こる、村人の怪死事件――。
その凶兆を祓うべく行われる陰惨な慣習。
蹂躙される小国とその裏に蠢く人間たち。
西洋史・西洋美術に対する深い洞察と濃密な文体、詩情溢れるイメージから浮かび上がる、蹂躙される「生」と人間というおぞましきものの姿。
芸術選奨新人賞、吉川英治文学新人賞受賞作家の新たなる代表作となる長編小説です。
佐藤 亜紀[サトウ アキ]
著・文・その他
内容説明
独立蜂起の火種が燻る、十九世紀ポーランド。その田舎村に赴任する新任役人のヘルマン・ゲスラーとその美しき妻・エルザ。赴任したばかりの村で次々に起こる、村人の怪死とその凶兆を祓うべく行われる陰惨な因習。怪異の霧に蠢くものとは―。
著者等紹介
佐藤亜紀[サトウアキ]
1962年、新潟県生まれ。1991年『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。2002年、『天使』で芸術選奨新人賞を、2007年刊行の『ミノタウロス』は吉川英治文学新人賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
124
タイトルと表紙のジャケ買いで読みました。佐藤亜紀、初読です。純文学的ホラーなのでしょうか、雰囲気は嫌いではないですが、全く恐怖を感じません。著者は同郷で姉と同い年なので、親近感はわきましたが・・・今月は本書で読了です。2016/03/31
紅はこべ
118
これはオーストリアのポーランド支配とかの歴史的背景をよく知っていなければわかりにくいと思う。だから私も理解できたとは言いません。ゲスラーが言葉を交わした若者は吸血鬼なのか、それともゲスラーの妄想、ゲスラーに憑いたもの?でも旅館の女将は会っているんだよね。吸血鬼は村人の迷信か、それとも領民の真の望みを理解しない領主こそが吸血鬼?クワトロスキの書く詩はいい。佐藤さんは叙事詩の才能もあるのね。ウツィアは魅力的だった。ゲスラーは現代人から見ると良心的な役人に思えるんだけどな。2016/07/18
R
80
架空と事実と、そのあたりをたゆたう絶妙な小説でした。この物語の本質を掴むことができずに、とりあえず一度読んだという体たらくでしたが、オカルト的な謎と、それをバカにしつつ、さらにバカにされても仕方ない政治的な思想もふまえながらの物語を堪能できました。何が正しいとか、どれがよいとかではない、それぞれがそのままに生きて、それでいて、何か不可思議なこともある、それを利用したり、されたりということが生きるうえで必要なのではないかと思わされた一冊でありました。2018/01/22
yumiko
72
中二病患者の心をくすぐる題名と表紙に惹かれた。なんで今まで著者のこと知らなかったんだろう〜すっごく×3私好みだ!19世紀初頭オーストリアの支配下にあるポーランド、貧しい田舎の村に赴任する役人ゲスラー。迷信深い農民たちの不審な死が続く時、古い因習に囚われた彼らが行うことは…。ひんやりと冷たく重い空気、広がる深い闇、微かに漂う血の匂い…作品が纏うゴシック小説のような空気感が好き。この村を襲う吸血鬼の正体は何なのか?答えは至極真っ当だ。映像で見てみたい一作。他の作品もチェックしたい。2016/05/17
ちょき
69
もう、許してけろっていうくらい恐ろしげなホラーを予想してました。なんせこのシンプルなタイトルでこの表紙デザイン、そして実際におこる村人の怪死事件。なにが始まるかとずっとビクビクしている間に残りページ数が少なくなり...あれ?となった。ホラーというよりも、19世紀のポーランドでのとある村の風習や歴史観を物語にしてみたような話。文章も固さはあるが流麗でもありけして読みにくい小説でも無いが、叙情的な詩すら私には飲み込めずどこに気持ちを持っていけば良いか分からなかった。恐怖は人心にこそ生ずるのかも知れない。2016/03/26
-
- 電子書籍
- なでしこドレミソラ 4巻 まんがタイム…
-
- 和書
- 身体均整法 (増補版)