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内容説明
「歴史の父」の名を冠されるギリシアの史家が述べる,前五世紀のペルシア戦争を頂点とする東西抗争,東方諸国の歴史.著者は,ギリシア人と異邦人とが果した偉大な事跡,両者が争うに至った原因を後世に伝えるべくこれを書いた.何よりもまず正確さが重視され,豊富に織りこまれた説話は長巻を飽かず読ませる魅力をもつ.
目次
目 次
巻 七(ポリュムニアの巻)
巻 八(ウラニアの巻)
巻 九(カリオペの巻)
詳細目次(巻七─巻九)
解 説
索 引
訳 注
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
明智紫苑
17
クセルクセスとアメストリスって鬼畜夫婦だな。それはさておき、旧約聖書のエステル記に出てくるクセルクセスの最初の妃をアメストリスと同一視する人がいるけど、あちらはあくまでもフィクションだよね…? さらに、他ならぬエステルこそがアメストリスだという説もあるようだが、はて?2016/03/16
きゃれら
16
ダレイオス王の遺志を結局引き継いでヨーロッパ侵略に着手するクセルクセス王の挫折の一代記ということか。クセルクセス遠征軍の内訳が延々と記述されるのを読むと、戦争にコミットなんかするわけない外国人部隊が多すぎて、数はすごいけどダメなんじゃないの?と思ったら案の定という話だった。一大プロジェクトが失敗してしまう経緯は、今と何も変わっていない。あるいは、ロシア、イスラエルも同じ道をたどってしまう可能性もあるのではないか。たいそう読みにくい本ではあるが、読み終えると楽しい読書だったと言える。2024/03/30
壱萬弐仟縁
13
アルタバノスは、「束の間の人生におきましても、生よりもむしろ死を願わしく思うことが、一度といわず幾度も起らぬほど仕合せな境遇に生れついた人間は、唯の一人もおりません。不幸に見舞われ、病に悩まされるものには、この短い人生も長すぎるように思えて参ります」(42頁)。これに対して、クセルクセスは、「われわれは現に仕合せを掌中に握っているのであるから、不幸のことなどは考えぬようにしよう」(同頁)と応じている。その後、人類の戦争史の一コマが示唆するのは、仕合せな時など、ごくわずかに過ぎないことを現代人に自覚させる。2013/09/19
OZAC
10
有名なテルモピュライの戦いやサラミスの海戦を描いた大作。ペルシャ戦争を中心にエジプトやスキュタイの地誌、リュディア王国最後の王クロイソスやペルシア大王ダレイオスの伝記など実に様々な要素が盛り込まれている。個人的にはトゥキュディデスよりもヘロドトスの方が好きだな。 2019/06/04
みのくま
7
前巻までヘロドトスは戦闘を詳述しない特徴があったが、さすがにペルシア戦争のハイライトであるテルモピュライ、サラミス、プラタイアはしっかり記述している。そして論議百出のラストはキュロスの訓戒で唐突に終わる。本巻は今まで突き放して語られていたギリシア及びアテネに寄り添った記述となっている事もあって、かなりエンタメ要素も多く面白い。他方、ペルシア側を悪と断罪するわけではなくバランス感覚は失っていない所も注目に値する。リュディア、メディア、ペルシアと帝国の興亡は続き、そして次はギリシア(アテネ)にその予兆を感じる2023/10/16